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不動産レポート



大阪・関西万博の宴の後 大阪湾岸で期待高まるタワマン開発

東京同様にマンション価格高騰が湾岸に波及 

 

大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会協会)が当初の思惑とは違い盛り上がりを見せて2025年10月13日に184日間の会期を終え閉幕した。最終的に来場者数は2500万人を超えた。国内にとどまらず、大阪・関西万博によって海外からの注目度も上がった。帝国データバンクの調査によれば、約7割の企業が日本経済に「一定のプラス効果」をもたらしたと評価していることがわかった。2割超の企業が「期待以上」と評し、「成長の起爆剤」としての役割を果たしたとしている。企業による日本社会・経済に与えた評価点は、平均72.2点と高く、開催地の近畿圏に限定すれば81.3%に達した。不動産マーケットにとってもプラスに働くとみられる。

 

■大阪地区のマンション坪単価は高止まり

企業からは、「大阪地区の雰囲気が良く、会場外のイベントも盛況だった」といった声が挙がった。そんな中で、足元の分譲マンション市場を見ると、販売価格の高騰が続いている。不動産調査会社の東京カンテイによると、大阪の今年7~9月の第3四半期の新築の坪単価は306.9万円、第2四半期は356万円の高水準である。新型コロナウイルス直前の2019年10~12月期は248.7万円だった。実に20%以上の値上がり率となっている。新築にとどまらず、中古マンションの7~9月期は坪147.3万円と6期連続でプラスである。

新築マンションの供給戸数で見ると、第3四半期は3839戸(前期比27.6%増)と3期ぶりにプラスに転じた。2023年の第1四半期以降は4000戸を下回り続けているものの、今期はそれ以来の高水準となった。これを万博効果と言っていいものかどうかという問題はあるが、供給ベースで上向いたことは確かだ。大阪市のほか、神戸市や京都市は価格高騰が続いている。東京都心部の1億7550万円には遠く及ばないものの、大阪中心部(福島区・西区・天王寺区・浪速区・北区・中央区)は中古マンションの平均価格が8456万円と21カ月連続で上昇している。

 

■分譲価格の高騰が賃料増額改定に波及

こうした価格上昇は住宅の賃料水準にも反映されている。分譲マンション(専有面積70㎡)を貸し出した場合の賃料を見ると、直近9月の大阪市では、1㎡当たり3118円(前月比0.1%上昇)とほぼ横ばいながらも高水準を維持している。

各築年帯で見ると、築浅物件を中心に上値を伸ばす傾向にあり、「築5年以内」と「築6年~10年」では2%以上の上昇率を示している。分譲価格が高騰して手を出しにくくなっているだけに賃貸需要も旺盛となり、賃料増額改定も相次いでいる。不動産投資家目線で言えば、賃貸住宅の向こう5年間の市場見通しについて投資妙味を感じているケースが多い。中長期的な視点から賃貸住宅は投資家の関心が高いアセットである。

不動産投資家のプレーヤーの多様化も進んでいる。ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)によれば、不動産マネジメントにおける長期に安定的な収益を得ることを目指すコア型の運用スタイルは減少傾向にあり、リノベーションなどで付加価値を付けるバリューアッド型で積極的に収益を追うタイプが増加している。近年の賃料増額改定が相次いでいることが背景にあるとみられる。

 

■万博会場周辺エリアに強い住宅ニーズ

そんな中で今後の大阪・関西万博会場周辺エリアのマンション価格はどう動くのか。大阪・関西万博を機に大阪メトロ中央線「夢洲(ゆめしま)」駅が開業するなどで周辺の交通利便性が上がった。今後は、会場跡地に隣接する場所にカジノ施設を含む統合型リゾート(IR)などが開発される。

不動産・住宅情報サービスのライフル(東京都千代田区)では、将来的に1970年の大阪万博に続くような開発に期待する。同社傘下のライフル総研では、「大阪・関西万博は、大阪湾の埋め立てで造成された人工島で開催されているため、閉幕後に宅地開発などに利用される計画はたてられておらず、将来的には長期滞在型のリゾートシティとしての活用が予定されているようだ」と指摘する。

ただし、万博会場の近隣エリアである此花区や港区、大正区、住之江区の大阪湾岸周辺で住宅ニーズが強い。同社が万博開催決定時の2018年11月時点と2025年8月時点の中古マンション価格を比べたところ、港区では価格が155%と5割以上も上昇し、住之江区で129.8%、此花区が119.0%、大正区が115.2%となっている。

前述したように東京だけでなく、大阪市中心でもマンション価格が高騰している。需要が都心部からその周辺に広がる可能性があり、ライフル総研では、「マンション開発の波が中心部から大阪湾岸エリアにも及び、もともと容積率も建ぺい率も高いエリアであることから、タワーマンションを中心に開発が進むことが想定される」とし、大阪湾岸エリアが東京湾岸のように開発されるかどうか今後の展開に注目している。

大阪には、街の新たな発展とリゾート地としての発展に期待が集まっている。万博の宴が終わり、大阪に対する危惧は杞憂に終わる公算が大きくなっている。    

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