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不動産レポート



大阪市が全国で総合1位に 「日本の都市特性評価2024」

世界トレンドに合った政策の実行力が高評価 

 

人口が減少する中で国内の地域格差が広がっており、生き残りをかけた都市間の競争力も激しくなっている。国内外から観光客や移住者を引きつける地域のコンテンツ力が地域の魅力アップのカギを握る。そんな中で、森記念財団都市戦略研究所は、毎年「日本の都市特性評価(Japan Power Cities、JPC)」をまとめて都市をランキング化している。7月24日に発表した2024年版の日本の都市特性評価を見ると、大阪市が昨年に続き1位だった。人口17万人以上の全国136都市と東京23区を対象に調べたもので、今回の調査で都市の入れ替えはなく、2位は名古屋市、3位が横浜市、4位が京都市、5位が福岡市だった。東京23区でのランキングは、千代田区の牙城を崩し2018年の同調査開始以来、港区が初めて1位となった。2位は千代田区、3位が中央区、4位が文京区、5位が渋谷区となった。

 

JPCでは定量・定性データをもとに分析して各都市の特性を明らかにすることを目的としている。87指標を使い『経済・ビジネス』『研究・開発』『文化・交流』『生活・居住』『環境』『交通・アクセス』の6分野をそれぞれスコア化し、その合計をランキング化している。

 

今回の特徴としては、「外国人住民の受け入れ体制」や「子どもの医療費支援」などで高い評価を受けた『生活・居住』分野で昨年の18位からトップに躍進したことを主因に名古屋市の合計スコアが昨年の3位から2位に浮上した。

 

『環境』分野では「水辺空間の充実度」と『文化・交流』分野の「イベントの数」と「国際会議・展示会開催件数」でスコアを伸ばした広島市が合計スコアで14位から10位に初めてトップ10入りを果たした。

 

つくば市(茨城県)も昨年の11位から8位と初のトップ10入り。同市は、『経済・ビジネス』と『生活・居住』の分野で順位を大きく伸ばしている。新規指標の「フレキシブルワークスタイル実施率」が高い。『交通・アクセス』の評価では、自転車の利用のしやすさが注目されているとした。

 

都市特性評価の策定で委員長を担当する明治大学名誉教授の市川宏雄氏は、「人の動きが最も影響を受けた。コロナ禍明けでわかったことは『やはり都心に人が集まる』ことだ。環境への評価も重要になっている。地球環境問題への注目が年々高まる中で、都市が自然環境に対して果たすべき役割がますます大きくなってきている。世界のトレンドに合っている政策を実行している都市に対する評価が高い」などと述べ、都市評価を高めるには街のデータを読み解き優先事項を絞っていくことが欠かせないとする。

 

■総合トップ10に関西から3都市

 

そんな中で、総合トップ10には大阪、京都、神戸の3つの市が入っている。まず、1位の大阪市を見ると、高い経済力と交通アクセスの良さが関西随一の都市だとの評価を受けた。『経済・ビジネス』と『交通・アクセス』は共に1位の評価で、『文化・交流』が2位となっている。昨年64位と評価の低い『生活・居住』(41位)に改善傾向が見られ、同研究所では「今回から新規指標に加えた育児・教育関連給付金の多さで高評価を獲得している」とし、政策として「育児・教育」に力を入れていることがうかがえる。

 

総合4位の京都市は、『文化・交流』(1位)と『研究・開発』(2位)が強みだ。『交通・アクセス』も昨年の17位から7位にアップした。国際会議・展示会開催件数で回復が見られる。評価の低い『経済・ビジネス』がどこまで改善させていけるかが、今後の都市力の向上に係っているとした。

 

総合6位の神戸市。『研究・開発』(8位)と『文化・交流』(7位)で着実に魅力を高めているバランス型の都市と評価されている。研究集積地として学術・開発研究機関の従業者割合やトップ大学数が共に評価を上げている。 

 

■東京23区は港区が初めて総合1位

 

東京23区を同様に見ていく。総合1位を獲得した港区は『経済・ビジネス』と『文化・交流』の両分野が強みだ。フレキシブルワークスタイルの実施率と労働生産性が共に1位の評価で、クリエーティブ産業の従事者割合も高評価を維持している。

 

千代田区は2位に甘んじたものの、ほぼ全ての分野でトップ3にランクイン。『経済・ビジネス』では、賃金水準や従業者数で評価が高く、「新規設立法人登記割合」でスコアを伸ばしている。『文化・交流』では、国際会議・展示会の開催件数やイベント数も高スコアを獲得しており、経済力やビジネス力にとどまらない多様な魅力があるとした。

 

3位の中央区は、全国屈指の商業地「銀座」を持つのが強みだが、『生活・居住』『交通・アクセス』の両分野で首位を獲得している。刑法犯認知件数が少ない安全・安心の側面と、合計特殊出生率などでも評価が高い。移動のしやすさ、環境面での子育て世代からの人気も高いことがうかがえるとした。

 

■特定指標1位のユニーク都市

 

ちなみに特定指標で1位となったユニークな都市を一部抜粋するとこうだ。

●浦安市(千葉県)=財政力指数、休日の多さ、空き家率の低さ、街路の清潔さ、鉄道・バス停密度、新幹線の利用のしやすさ。

●長野市(長野県)=高齢者就業率

●那覇市(沖縄県)=気温・湿度が快適な日数、空港アクセス時間の短さ

●明石市(兵庫県)=居住環境の満足度

●春日市(埼玉県)=子どもの医療費支援

●日立市(茨城県)=空気のきれいさ

●日野市(東京都)=実質公債費比率の低さ、一人一日あたりゴミの排出量の少なさ

●鎌倉市(神奈川県)=高等教育修了者割合、フレキシブルワークスタイル実施率、文化・歴史・伝統への接触機会、可処分所得、リサイクル率

●習志野市(千葉県)=災害時の安全性

●和歌山市(和歌山県)=育児・教育関連給付金の多さ

●鹿児島市(鹿児島県)=女性就業者割合

●東広島市(広島県)=都市地域緑地率

●呉市(広島県)=再生可能エネルギー自給率