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不動産レポート



大阪の不動産事情 東京からの逃避マネー引き付ける

大阪の不動産事情

東京からの逃避マネー引き付ける

 割安感から注目度が上昇中 

 

分譲マンション市場は堅調に推移し、今後総崩れするようなことはなさそうだ。日経平均株価は史上最高値を更新し、3月4日に初めて4万円の大台に乗せた。バブル経済がはじけてから日本経済は没落の一途をたどり、日経平均が7000円台まで落ち込んだこともあったがそこから見れば足元の株価水準は4倍以上になっている。東京23区内の分譲マンション価格は新築・中古とも1億円を上回るものが珍しくない。こうした傾向を受けて、富裕層や投資家などが割安感の強い地方都市に目を向け始めており、大阪市場に熱い視線が注がれている。関西エリアの分譲マーケットを追った。

 

地価が下落地点は全国的にゼロに

 

国土交通省の2023年第4四半期地価LOOKレポートは、調査した全80区のうち79地区が上昇し、横ばいが1地区となり、下げに転じている地区はない。圏域別に見ると、東京圏が35地区、大阪圏が19地区、名古屋圏が8地区を調査エリアにしている。横ばいの1地区は東京圏から出たもので、後はすべて上昇を示している。この強含みの主な要因として、国土交通省は、利便性や住環境に優れたエリアでのマンション需要に引き続き堅調さが認められたことが上昇をけん引しているという。

 

東京カンテイの調査によれば、近畿圏の中古マンションの相場価格は2023年下半期に1坪当たり平均216万円となり、前期比マイナス0.7%で上昇トレンドに一服感が見られるものの、大手住宅メーカーの分譲マンション事業を手掛ける幹部は、「大阪市内など中心部は強気の値付けが続くだろう。東京と比べての割安感と、今後の利上げ局面で住宅ローン金利が引き上がる前に購入しておくなどの動きも見られる」と話す。大阪中心6区(福島区・西区・天王寺区・浪速区・北区・中央区)の坪単価は平均270万~350万円ほどである。東京都心の新築マンションは坪500万~600万円が相場とされるだけに大阪はひときわ割安感が出ている。

 

再開発が需要を生み、マンション開発に意欲

 

現状のデベロッパーの新築マンション供給でも、2025年3月期の成約計上戸数は、すでに計画を上回る勢いで進んでいるようだ。「計上計画に対しての進捗率が8~9割に達して好スタートを切っている」(2024年12月決算の不動産会社)との声も聞かれる。少なくとも東京23区と同様に、大阪の中心部に限っては、向こう1年間は販売価格が下がることはなく、場合によっては2年先まで高価格帯が続くとの見方が少なくない。

 

直近1月の大阪府の中古マンション価格は、3049万円と9カ月ぶりに上げ基調を示しており、大阪市でも3867万円(前月比1.2%上昇)と3カ月ぶりに上昇に転じた。大阪市中心6区は5335万円(同5.5%)と大幅に上昇している。福島区は、大阪市中心部のオフィスエリアに近く生活利便性が高いほか、東方に位置するうめきた2期区域でJR東海道線支線地下化や2031年度開業予定の「なにわ筋線」等のインフラ整備が進んで、公園・オフィス・商業施設・ホテル・高層マンション等の大規模複合開発が進捗している。昨年3月には、JR大阪駅(うめきたエリア)が開業し、今年の夏頃に先行して街開きが予定されており、開発効果が好影響を与えている。うめきた2期区域の進捗を背景に、引き続きマンション需要は強い状況が続き、地元の不動産鑑定士は、デベロッパー等によるマンション開発素地の取得意欲は強く、取引価格は引き続き上昇傾向にあるとする。マンション賃料も上昇傾向にあり、法人投資家等による賃貸マンションの取得意欲も旺盛だとする。

 

天王寺区でもデベロッパーによる開発意欲が依然として旺盛さを保っている。建築費の上昇傾向等が続く中で、マンション開発素地選定等の事業計画が慎重になる傾向が見られ、完成在庫数の圧縮傾向により、新築分譲価格は上昇傾向で推移している。近接する大阪上本町駅ターミナルとその周辺においては、10年後の2034年の完成を目指す再開発構想が公表されていることで、同ターミナルを中心とした発展期待を受けてマンション開発素地に対する需要の強まりも当面続くと見込まれている。

 

強気の相場が続く中での買い手は、投資家的な性質を持っているのが特徴だ。マイナス金利が解除されたとしても、不動産業界に対する悪材料の出尽くしと見なす可能性もある。春季労使交渉では、大手企業は軒並み賃上げとなり、個々の所得が改善されれば、物件価格が高水準であっても買い意欲が落ちない。金利のある世界に移るといっても、日銀が急激な利上げを演じる可能性は低い。資金調達環境は当期も良好であることから、当地区の不動産投資意欲は旺盛で、当地区の投資物件に対する需要は強い状態が続いている。

 

大阪商業地はミナミ含めて訪日客急増で賑わう

 

住宅マーケットだけではない。新大阪のビジネス街やコロナ禍で一度没落した心斎橋やなんばといった商業地ミナミの地価も急回復した。新大阪は、国内外の機関投資家等によるオフィスに対する投資意欲は依然として旺盛だ。新規供給が続いたことで、オフィス賃料は下落傾向が続いたが、投資需要の強まりから再び取引利回りの低下傾向を招き、新大阪のビジネス地区の地価動向は強含んでいる。

 

なんばは、関西圏を代表する商業エリアだ。関西国際空港までのアクセスの良さからインバウンド需要の恩恵を受けやすい特異性を持ち、訪日外国人観光客の増加が著しく増加している。コロナ禍でドラッグストア退出が相次いだが、そうした空き店舗に再びドラッグストアが入居する等の活発な出店動向が見られ、なんばエリアの空き店舗は減少に向かい店舗賃料の上昇傾向が続いている。ビジネス需要でも、大阪市内でオフィスビルの大量供給が計画されているため、店舗等の商業地での需要が強まるとともに投資市場での需要も強まるとみられる。

 

心斎橋もなんば同様に訪日客を引き付けるスポットだ。高級ブランド店が並ぶ。商いの好調なのに加え、当地区では店舗等の商業系床の他に、相当の賃貸等のオフィス床も共存しており、大阪市都心部のオフィス床供給等の動向を背景に、オフィス賃料は当期も緩やかな下落傾向で推移している。

 

新型コロナウイルス禍から社会経済活動の正常化に移行して大阪の住宅・不動産マーケットは、投資マネーを引き付けるまでに回復している。