実績豊富!東京5区エリアの不動産売買 信義房屋不動産(しんぎふさやふどうさん)

不動産レポート



世界の不動産投資家 円安ニッポン注目

主要国で唯一続く低金利状態が誘う

攻防と東京大改造が起爆剤となる

 

本格的に利上げ局面が訪れるのかにスポットが当たっているが、日本が本格的に利上げに踏み切れるようになるのはまだ先だとみられる。2000年以降に日本の長期国債利回りは2%を超えたことがない。長期金利が本格的に上昇する局面を迎えたとしても2%までの上昇は想定されていない。足元で長期国債は0.8%の利回りを付ける場面も出てきたが、たとえ長期国債利回りが1%を超えたとしても世界的な水準で見ればニッポンは十分に低金利であることに変わりはない。このことは、世界の不動産投資家にとっては、低金利で資金調達ができ、円安も相まって投資妙味が良いと日本の不動産を購入する大きな動機になる。

 

坪単価1000万円の訴求強まる

 

日本国内の不動産価格は上昇している。商業用不動産、分譲マンションの取引価格は既にデフレを脱しており、特に東京都心や東京23区のマンション価格は、消費者の年収の10倍以上となり、買いづらさがましている。東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京)では、中古マンションでありながら平均価格が1億426万円(東京カンテイ調べ)となり、7カ月連続で1億円を超えて話題になっている。2023年上半期(1~6月)の中古マンション価格相場は、東京23区で405.2万円と大台に乗った。首都圏平均では、上昇率が鈍化しているものの、平均331.2万円(前期比4.2%上昇)と21期連続で上昇している。

 

ただ、海外の主要都市と比べると、依然として割安だとされている。日本不動産研究所によれば、東京都港区元麻布のハイエンドクラスのマンション価格の1戸当たりの分譲単価を100とした場合に各都市との比較を指数化しており、ニューヨークは133.6、ロンドンが186.1、シンガポールが125.6、台北が161.0、上海が157.5、香港では248.9である。東京と香港では約2.5倍もの開きがある。その賃料水準を見ても、東京100に対して香港が191.5、シンガポールが140.7、ニューヨークが251.9、ロンドンが235.4と高い家賃が取れている。

 

富裕層取引を得意とする都内の不動産事業者の間では、取引価格が毎年上がっているとの声が相次いでいる。「日本の不動産に買い意欲は衰えていない。富裕層向けは天井知らずだ」と目を丸くする。2020年に1億円強だった平均取引価格が、2021年には2憶円強、2022年に約3億円となっている。最近は最も多い価格帯は3億円前後で推移しており、都心部では1坪当たりの単価が1000万円以上の物件が散見されるようになった。「ときには10億円を超える物件の取引もある。新型コロナウイルス前は10億円クラスの取引はそうなかったが、最近はこのクラスが活発に動いているのが特徴だ」(都内の事業者)。

 

この背景について、複数の富裕層コンサルタントは、「新型コロナ禍では、渡航制限があったため海外にいけなかった。本当は、海外のマンションなどを購入する予定だった資金をコロナが明けて国内に戻しているのではないか」と推察している。コロナ明けでは、海外勢にとどまらず、国内の富裕層が動き出している現状も浮かび上がっている。そうした富裕層が買い求めるのは、眺望の良さや、コンシェルジュサービス、大型車が利用できる駐車場といった諸条件をクリアしているマンションである。

 

外資マネー、東京大改造に注目

 

海外勢の需要も旺盛だ。前述の富裕層コンサルタントたちは、「海外渡航がしやすくなったことに加え、海外では経済の不安定さや、地政学リスクなどを踏まえて国外に資産を持ちたいと考えている富裕層が増えている。日本は政治と経済が安定していることでリスク分散の一つとしてみている」と話す。こうした富裕層の資金は都心に限らず、国内の別荘需要でコンドミニアムタイプや戸建て住宅が売れている。東京から車で1時間半から2時間の近い目の別荘地だけでなく、北海道から沖縄県まで全国の別荘地まで買い上げる。北海道のニセコなどではコンドミニアムタイプの引き合いが多いのが特徴だ。日銀の金融政策に一喜一憂する必要のない富裕層の強みが発揮できる環境でもある。

 

今後は、こうした消去法下での日本買いではなく、積極的な日本買いが増えるとみられる。その起爆剤になっているのが、東京で行われている街の大改造だ。三菱地所は、東京駅周辺で開発を進めている。2023年9月27日には、東京駅日本橋口前で超高層ビル「Torch Tower(トーチタワー)」が着工した。ビルの高さは約385mと日本一高いビルとして2028年3月末に竣工する予定だ。

 

東急グループは渋谷で大規模開発が進展中で、こちらの大改造も2027年度まで再開発プロジェクトが相次ぐ。こうした街の活性化が商業用不動産や分譲住宅の資産価値を引き上げている。森ビルは、超高層ビル「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(東京都港区)が10月6日に開業した。地上49階地下4階建て。ビルの高さは約266mとなる。同社が展開する虎ノ門ヒルズの中で最も高いビルとなる。業務用オフィスだけでなく、商業施設が盛り込まれ、今年12月には海外ブランドホテル「ハイアット」が開業する予定だ。

 

持続的な経済発展が投資マネー誘致のテーマとして意識されている。ポジティブな見方は、パンデミックリスクが後退し、経済再開の本格化が挙げられる。人流の都心回帰を受けてオフィスビル市況が改善すると同時に悲観的な先行き見通しも後退し始めている。この人流の回復は、商業用不動産にも恩恵をもたらし、商業施設やホテルの収入の上昇余地が大きい。不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)によると、日本の不動産への投資額は、世界の投資額が減っている中で増加傾向にある。2023年第2四半期(4~6月)の投資額は前年同期比42%増の9724億円となり、上半期(1~6月)では2兆1473億円(前年同期比52%増)と好調に推移している。

 

都市別に投資額を見ると、上半期の投資額で東京が世界2位に付けており、2022年通年の16位から急浮上。上半期の地域別投資額割合は、東京都心5区が35%を占め、東京都を除く東京圏が16%となっている。この調子でいくと、2023年通期の不動産投資額は前年比で2割増しの4兆円の大台を回復すると見込まれている。

 

世界情勢のきな臭さに伴う世界経済の不透明感などを受けて、低成長ではあるが改めて日本の安定性が見直されての投資資金の流入が力強さを増しそうだ。