実績豊富!東京5区エリアの不動産売買 信義房屋不動産(しんぎふさやふどうさん)

不動産レポート



賃金が上がらないニッポン 国内外の不動産投資を第2の収益源に

失われた30年、変貌した社会でどう生き残るか

 

1990年代のバブル経済崩壊以降、日本では働く人の賃金が増えていない。この30年の間に消費税や社会保障費が増え、直近の1年間はロシアがウクライナに軍事侵攻したことと、円安が進んだことでエネルギー価格が急騰し、光熱費や食料・日用品が軒並み値上げとなり、可処分所得が目減りしている状態にある。経済協力開発機構(OECD)の調査では、2021年の日本の平均賃金は4万ドル弱である。過去30年間を振り返ると、米国の賃金は2倍近くまで増加しているが、日本はほとんど増えていない状態だ。これらを受けて、第2の収益源として不動産賃貸業に資金を振り向ける若者が増えている。

 

不動産賃貸業を副業とする若年層が増加

 

昨年10月には1ドル150円台と32年ぶりの円安水準になった。この時期にハワイに行った40代男性の個人投資家の1人は、マクドナルドでハンバーガーをセット頼むと、日本なら700円ちょっとだが、現地では2000円を超えたという。レストランでワイン一杯と簡単な食事をするだけで5000~7000円となって円安を実感したという。

その個人投資家は、国内でIT企業に勤めながら副業として賃貸住宅を経営し、税控除前の年間キャッシュフローは3000万円を超えている。保有している不動産は、購入価格ベースですべてを合算すると8億円近い。不動産価格が高い今の相場で売却査定すると資産評価額は10億円を超えている。ローン残債を差し引いた純資産は3億5000万円ほど。このメガ大家は、すでに早期退職で経済的な自立を目指すFIRE(ファイヤー)を実現できる域にまで達しているが、IT企業で仕事を続けている。東京23区内の物件に投資し、コロナ禍の2021年には、2400万円で購入した一棟アパート(5戸)を4200万円で売却できたり、コロナ前の2019年にも3200万円で購入した区分マンションを4500万円で売却している。

不動産投資を始めたのは20代半過ぎ。社会人になってから株式投資をしていたが、「不動産投資は借り入れにより、自分が持っている金融資産以上の投資ができることが魅力だ。

レバレッジを効かせて資産を築き上げることができる」と話す。自己資本に加えて、借入金(ローン)を含めた資金を効率的に運用できる。株も不動産も景気に左右される点では同じだが、株式の場合は企業が倒産すれば紙くずとなってしまう。不動産の場合は、不景気だからと言って物件が無くなることはない。不動産価格が下がることはあるが、価値がゼロになることはなく、家賃相場が大きく落ち込むことがない安定感も魅力だとしている。

このような成功事例を求める若者が日本では増えているようだ。年金制度は当てにできない、会社の給料は上がらない、新型コロナのような疫病の大流行で企業が簡単に倒産する、といった将来への不安の連鎖が背景にある。こうした傾向は民間企業に勤める若者だけでなく、公務員の若年世代にまで興味が広がっている。教員や消防士なども将来の安定した老後に向けての資産作りに賃貸経営を選択する例が少なくない。特に若年世代は、中高年と違い時間軸が長いことでコツコツと資産形成できるのが強みだ。

「本業とは別に安定した収益源を確保したい」。

そう話す30代女性の地方公務員は、東京23区内を中心に賃貸マンションを区分で購入した。築20年前後の物件を2戸運用している。利回りは4%前後と高利回りではないが、安定した家賃が長期にわたって得られる資産として考えている。物件価格はそれぞれ1500万円ほど。繰り上げ返済で40代前半を目標にローンを完済し、「50代には運用資産規模が4~5戸になっていれば…」と夢を語る。

 

海外不動産を購入するアウトバウンド投資

 

一方で、資金力に余裕のある会社経営者・役員や医師、弁護士なども賃貸経営に積極的だ。こうした層の特徴としては、国内の賃貸マンションにとどまらず、国内外のリゾート地に不動産を購入するケースが多い。とりわけ、優秀な人は日本の成長性に見切りをつけて海外の不動産に資金を振り向けるアウトバウンド投資に注目する。新型コロナ感染症が落ち着きを見せて社会経済活動が正常化に向かっていることで海外に行きやすくなった。ハワイやタイ、フィリピンが人気エリアだ。

日本は人口減少が著しいが、東南アジアはかつての日本の高度経済成長を思わせる。ASEAN加盟10カ国の総面積は日本の約12倍に達し、人口は約5倍の6億5000万人である。不動産投資は人口が増えているところで行うべきという鉄則を踏まえればアジア圏は有望だ。GDP成長率と比例して所得水準が上がる。不動産価格や家賃も上昇する。このため、将来の値上がり時に売却するキャピタルゲイン狙いになりやすいのが特徴だ。

また、アジア圏だけでなく、先進国で人口が増えている米国や豪州に注目し、成熟社会で安定した賃料を得たいという投資家も増えている。海外不動産の収益を国内にいながら管理がしやすくなった点もアウトバウンド投資を後押ししている。スマートフォンやパソコンがあれば、現地の口座から日本に送金することも可能になっている。

 

地道な努力が不動産で財を成す

 

ただし、成功への道は地道な努力が欠かせない。不動産賃貸業は一昔前まで不労所得などと言われていたが、きちっとした管理能力を持たないと成功しない。周囲に流されない自分の投資スタイルと投資物件の軸を固めておくことも重要になる。例えば、区分マンションか、一棟マンションか、または戸建て住宅でいくか、新築・築浅・築古、東京か大阪かなどの投資エリア選定、利回り重視か積算重視かなどだ。

また、冒頭の記事に登場したメガ大家は、不動産会社選びがカギを握っていると強調する。信頼できる営業マン、良い営業マンについては、「メリットだけでなく、デメリットを説明してくれる人だ。金融機関の情報に詳しく資金プランを考えられたり、投資物件に強い。仮にその営業マン自身が不動産投資をしているとベストですね」などとアドバイスする。