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不動産レポート

政府支援 待ったなし 緊急事態宣言の延長で家賃支援が急務

二次補正は既定路線、追加支援へ 

 

新型コロナウイルスの感染拡大が思うように収まらない。政府は緊急事態宣言について、5月6日の期限を待たず今月31日まで延長することを決定した。安倍晋三首相は4日に国民に向けて記者会見に臨み、宣言を継続することになったことについて「責任を痛感している」と陳謝。政府は14日をめどに感染状況の中間評価を行い、可能な地域では31日の期限前に宣言を解除する方針も示した。

 

西村康稔・経済再生担当相も首相会見の翌日、14日の政府中間評価に続き21日ごろに専門家による中間評価を実施し、宣言解除の可否を検討する方針も明かした。いずれにしろ、通常の経済・社会活動への道のりは遠い。外出自粛・休業要請の継続により、従業員の賃金カット、雇止め、解雇が増えるのは必至の情勢だ。不動産業界にとっては、営業が再開できないビルに入居するテナントと失職した人などが店舗や家の賃料を支払えないリスクが増大している。政府や各自治体の支援策を通じて経済と不動産マーケットを観測する。

 

休業・自粛解除、大阪は独資基準を示す

 

政府の緊急事態宣言の延長を受けて、旅館・ホテル、飲食店、航空や観光バスといった運輸関連、ディズニーランドやユニバーサルスタジオなどのアミューズメントなど幅広い業界から悲鳴に近い声が上がる。帝国データバンクによれば、新型コロナウイルス関連の倒産は5月1日時点、全国で115件判明している。その内訳は法的整理76件と事業停止39件となっている。簡易宿泊施設「FIRST CABIN」を展開するファーストキャビンと関連4社は4月24日、東京地裁より破産手続きの開始決定を受けた。サラリーマンなど日本人客のほかインバウンド需要の大幅な増加を受けて全国に約26店舗を運営していた。このほか、中小零細の飲食店事業者でも倒産や廃業が相次いでいる。

 

緊急事態宣言の延長では、13の「特定警戒都道府県」で外出自粛や休業要請の継続を求められ、その特定警戒都道府県は、東京、大阪、北海道、茨城、埼玉、千葉、神奈川、石川、岐阜、愛知、京都、兵庫、福岡となる。残り34県では社会・経済活動維持との両立に配慮した取り組みに段階的に移行し、休業要請の解除や緩和の検討を始めるよう要請した。

 

とりわけ特定警戒地域の事業者からは、休業解除に向けての具体的な数値目標を求める声が多く、中間評価の際に政府がこの数字を出す可能性もあるが、これを待てないとして、自治体独自で出口戦略を示すところもある。

 

大阪府は5月5日に府独自の基準「大阪モデル」を発表した。5月末までの休業と自粛を府民に要請するだけでなく、感染経路不明の新規患者数や陽性率を考慮して解除の可否を判断することにした。15日から運用が始まる予定だ。

 

その解除基準を見ると、①感染経路不明の新規患者が10人未満(過去7日間の平均値)②PCR検査による陽性率が7%未満(同)③重症病床の使用率が60%未満―の3つの柱を示した。3つの指標が7日間連続で下回れることで段階的に自粛を解除する。

 

その半面、感染経路不明の新規患者数が5~10人以上、陽性率が7%以上など感染爆発の兆候が出た場合には段階的な自粛要請とするものだ。大阪府はホームページなどを通じて独自基準の数値を公開する。

 

東京都は追加の協力金の支給を表明

 

緊急事態宣言の延長を受けて、東京都では5月5日に外出自粛・休業要請の協力金を追加支給することを発表した。7日以降も遊技・遊興施設などの休業や飲食店の時間短縮営業の要請を31日まで延長することに応じた事業者を対象に「感染拡大防止協力金」を追加支給するものだ。都の協力金では、緊急事態宣言した当初の期限だった6日までの休業に応じた中小事業者に単独店舗で50万円、2店舗以上の複数店舗展開で100万円を支給するが、追加支給分でも同額設定する見通し。関連経費を補正予算案に計上する。

 

政府の対応としても、飲食店などの家賃負担軽減や雇用調整助成金の拡充、学生支援など追加的な経済対策を速やかに講じると強調している。安倍首相は5日の会見で家賃支援にも全力を注ぐとした。家賃の支払いに窮する事業者などのメニューとして、政府は2020年度の補正予算1.5兆円の予備費の活用も含めて臨機応変に対応するとしている。

 

自民党は5月7日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で家賃の支払いが困難になった事業者への支援策をまとめた。中小・小規模事業者と個人事業主を対象に一定程度の減収を条件に半年間、家賃の3分の2を国が給付する。中小・小規模事業者は上限50万円、個人事業主が25万円としている。前年比で1カ月間の収入が半分に減少しているか、3カ月間の平均収入が3割減少していることが条件となる。事業者はまず、金融機関の無利子・無担保融資を活用し、家賃の支払いに充てた分の一部を、国が事後に給付する。

 

事業者の運転資金を支援する上限200万円の「持続化給付金」と同様に1年前の同じ月との比較で収入が半減していることを条件とし、加えて、数カ月にわたり平均3割ほど収入が落ち込んだ事業者も対象とする方向で調整していた。

 

この家賃支援を巡っては、既に野党各党が2割以上減収した事業者を対象に、政府系金融機関が賃料を肩代わりすることで支払いを1年間猶予する家賃支援法案を衆院に共同提出済み。同案は、貸し主が家賃を減額した場合には国が一部を補助することも盛り込んでいる。

 

また、4月末に補正予算が成立したばかりだが、今国会中の2次補正成立が既定路線となっている。与野党は、緊急事態宣言の延長で疲弊する国民や事業者の追加支援として2020年度第2次補正予算を編成するよう要求を強めている。野党からは、真水の財政出動として50兆円や100兆円規模が必要だとして当初予算に匹敵する規模を要求している。

 

 

経済好転、不動産市場の道筋も未だ見えず

 

こうした中で、経済・社会活動が正常に戻るには時間がかかりそうだ。景気は急速に冷え込んでいる。経済産業省が4月30日に発表した鉱工業生産指数の速報値は95.8と前月比3.7%低下した。低下は2カ月連続で下げ幅は5カ月ぶりの大きさである。全15業種のうち13業種が前月を下回っている。

 

日銀は先月末の金融政策決定会合で、3月に続き追加金融緩和に踏み切り、企業活動の停滞を受けて大手企業でも資金繰りの不安が頭をもたげ始めていることに対応するためだ。社債の買い入れを拡大し、国債を積極的に購入するなどで日本経済を支える姿勢を強調した。日銀の黒田東彦総裁は、企業が資金繰りを急いでいることを受けて「その面ではリーマン・ショックのときよりも厳しい」と急速な経済悪化に警戒感を示した。

 

先月の金融緩和では、企業の金融支援策の担保範囲や対象先も広げて中小企業の資金繰りにも配慮しながらし大手企業が発行する社債などの買い入れ上限を約3倍の20兆円に拡大した。国債の買い入れ額の上限もこれまでの80億円を取り除いた。国債の増発が続くと需給バランスが悪化して長期金利が上昇しかねないため、購入上限をなくして先行きの金利上昇懸念の払しょくに対応した。

 

こうした経済状況により、不動産マーケットも見通しづらいのが実情だ。 商業用不動産を見ると、足元のオフィスビル市場は空室率の低下と緩やかな賃料上昇が続いてきたことで数字上は活況だ。しかし、休業要請によりテナントの収入が激減することから賃料支払いの猶予・減額に応じざるを得ないため、今後マーケットへの悪影響が懸念されている。特にビルは実質GDPとの相関性が強く、今後のGDPの落ち込みとともにビル需要が消滅し、空室率が上がる可能性が上がりそうだ。

 

また、不動産調査のスタイルアクト (東京都中央区)が4月末まとめたマンション購入検討者の定例意識調査によると、コロナ・ショックに加えて、オリンピック延期の影響も踏まえて価格が1年後に下落するとの予想が52.5%と今年1月時点から約2倍に拡大。特に東京23区は下落すると見ている割合が6割を超えている。売却意欲も大きく落ち込んでいる。売却意欲は、1月時点の64.1%から26.9%と過去最低の水準に沈んだ。同社では、価格下落について1~2割ほどと想定している。

 

向こう数カ月にわたって不動産市場を含めて日本経済に逆風が吹き付けるが、快方に向けてのシグナルを見落とさないようにしたい。毎月、本レポートで状況を追っていく予定だ。