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不動産レポート

経済成長の急減速で景気悪化か

不動産市場は視界不良で予断許さず

 新型肺炎の早期終息がカギ握る 

 

中国発の新型コロナウイルスによる肺炎で世界が揺れている。日本での感染者も拡大の一途を辿っており予断が許されない状況だ。IMF(国際通貨基金)は3月4日、世界経済の実質成長率について昨年の2.9%を下回るとの見方を示した。2009年以来、11年ぶりの低成長となる見通しだ。新型肺炎の感染が終息の兆しを見せずに拡大が続くことになれば東京オリンピック・パラリンピックの延期・中止の話題が現実味を帯びることになる。この思いもよらなかった感染症拡大によりリーマン・ショック以来の不況に突入しないか。日本の経済界も危機感が募っている。

 

不動産の金融商品市場も機敏に反応

 

IMFの当初の見通しでは、世界経済の成長率は2019年推計2.9%から2020年に3.3%、2021年に3.4%へと上昇すると見立てていた。この予測の背景には、世界経済の成長が底を打ちつつある可能性を示す兆候が見られるとの見方があったためだが新型肺炎の拡大で楽観論が吹き飛んだ。米国も3月4日に緊急利下げを発表した。その前の3月2日午前、日銀は総裁談話として市場の流動性の確保を表明。各国の中央銀行はコロナ対応に追われた。ただ、すでに日本はマイナス金利を導入済みであるなど政策対応の余地が乏しく今後の対応も限定的だとの見方が支配的となっている。マイナス金利の深堀りは、副作用の声が強まっているだけに実施しづらいのが実情であり、政府・日銀は口先介入といった対応にとどまる。

 

帝国データバンクは、日本国内の消費額について、中国からの訪日客急減を踏まえて2020年1~3月期に約1422億円減少し、関連産業への波及を含めると2846億円に相当する売り上げが減ると推計した。とりわけ宿泊業や商業、運輸などが大きな影響を受けるとする。

 

不動産の金融マーケットでも機敏な反応を示した。Jリート(上場不動産投資信託)を見ると、2月末時点の東証リート指数は前月比で8.9%と大きく落ち込んだ。用途別で見ると、オフィス(8.5%)、住宅(8.4%)の指数が大きく下げ、商業施設や物流施設では、今後の経済悪化の直撃を受けるとの観測から9.7%と1割近く指数を下げた。東証リート指数の2月末の終値は2017.50ポイントとなり、前日比で119.71ポイント下落し、過去3番目に大きい下げ幅を見せた。

 

Jリートの2月の物件売買状況を見ると、9投資法人が運用資産を計19物件(取得価格ベース約1184億円)買い入れたが、売却物件はなかった。購入した資産は、底地や物流施設、賃貸マンション、オフィスビルなどだ。19物件のうちケネディクス・レジデンシャル・ネクストが7物件を取得した。内訳は賃貸マンション5物件とホテル2物件だった。

 

不動産証券化協会(ARES)によれば、Jリート(64銘柄)の保有不動産額は1月末時点で4144物件・19兆2177万円(取得価格ベース)となっている。

 

 

不動産の地場事業者の業況感は既に悪化

 

こうした中で、分譲住宅市場に目を向けると、依然として供給の抑制傾向が続いている。不動産経済研究所の発表では、1月の発売戸数は1245戸と5カ月連続で前年同月を下回っている。同研究所は、高水準にある販売在庫(8688戸)に注力しているため、新規販売が抑えられていると見ている。初月契約率も好不調の目安である70%を10ポイント近く下回り、総じてマーケットは低調である。一方で販売価格は強気が続き、1戸当たりの価格は8630万円と前年比47.5%も上昇している。コロナウイルスの影響により、消費意欲が減退してしまうと冴えない販売状況に拍車をかける可能性がある。

 

ここ数年、新築販売の不振を横目に見ながら好調の中古マンション市場。しかし、ここも販売にやや陰りが見え始めている。東日本不動産流通機構(レインズ)のデータでは、首都圏の1月の成約件数は2680 件とり4カ月ぶりに増えたものの、盛り上がりに欠ける印象が拭えない。関係各所からは消費マインドの悪化が影響しているとの指摘が聞かれる。

 

だが、こちらも新築同様に販売価格は強気姿勢で推移した。1月の成約価格は3672 万円と前年比11.5%上昇しており、価格の高止まりが消費者マインドを冷やし始めている。

 

中古住宅を売買仲介する事業者の景況感からもそれが如実に現れ始めた。不動産サービスのアットホームが直近で発表した仲介事業者の景況感(業況DI値)は、コロナウイルス問題が出る前の2019年10~12月期にあっても首都圏で39.9(前期比3.6ポイント低下)となった。1年前の同じ時期との比較でも5.3 ポイント下げた。首都圏のDI値が40を下回ったのは5年ぶりである。近畿圏の業況も46.4(前期比1.8ポイント低下)と次期(2020年1~3月期)の見通しも44.9と下向きと予測している。

 

エリア別に見ると、東京23区では2期連続で下げて40.1(前期比4.2ポイント低下)、都下が43.6(同3.5ポイント低下)、埼玉県が39.3(同9.5ポイント低下)、千葉県が36.6ポイント(同4.4ポイント)となった。2020年1~3月期でも売買の景況感は落ち込む見通しとなっている。

 

近畿圏でもエリアごとに見ると、大阪府が48.8(前期比2.0ポイント上昇)、京都府が4期連続低下で43.1(同1.0ポイント低下)だった。京都府については、1年前の同じ時期と比べると10ポイントと大幅に下げている。

 

これら業況感の悪化について、首都圏の売買仲介事業者からは、「販売価格が高くて成約になかなか至らない」といったものが多く、顧客の懐具合と価格相場の乖離が原因となっている。実際、成約したとしても「販売価格と成約価格の差が大きい」との反応もある。

 

近畿の事業者は、「中心地は価格が少し上がっても商談できるが、郊外の住宅地の購入はローン審査が厳しく価格交渉が厳しい」、「外国人客からの売却依頼がかなり増えている」などの声が集まったとしている。

 

緩和マネーの神通力は続くか

 

このままリセッションに突入するのか。不動産業界にとどまらず、世界の経済界が気を揉んでいる。ただ、不動産業界からは、感染症による不動産取引への影響は限定的で一定水準の下振れで済むのではないかとの見方もある。その背景として、不動産の取引価格というのは賃料収入で決まるからだ。収益還元法が根付いている不動産市場では、賃料収入に影響がなければ取引価格に悪影響も出にくいとする論法だ。感染病の流行によって翌日から賃料が下落するということはない。不動産の賃貸期間は2~3年の固定賃料が一般的であり、商業施設や物流施設など不動産のタイプによっては5年、もしくはそれ以上とスパンが長い。一時的な事象によって取引価格が左右されないのが不動産マーケットの特徴でもある。

 

むしろ今回の緊急事態では、冒頭で述べたように米国の緊急利下げなど各国の中央銀行が金融緩和をさらに強めて、世の中にさらにおカネが出回る政策を講じている。

 

日銀の金融緩和政策を見ると、国債を大量に買い入れることで長期金利をゼロ%程度に誘導するとともに、短期金利もマイナス0.1%にしている。大規模な金融緩和は当面続くことが決定的となっており、その緩和マネーは、低金利下で魅力的な金融商品が見当たらないことから、なお不動産に流れ込み投資適格物件を買い漁る、というやや乱暴ではあるものの、そうしたシナリオを描くこともできなくはない。

 

企業の資金需要は、潤沢な内部留保があるため、低金利であっても銀行から資金を調達することは考えにくく、実際、銀行の融資先を見ると、依然として不動産業向けの貸出残高は80兆円ほどとバブル期を上回る過去最高水準で推移している。不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)は、対日不動産投資額について、2020年は4兆5000億円(前年比5%増)との予測だ。その背景としては、世界的に継続する低金利が投資需要を引き続き喚起しているためだとしている。

 

ただ、正確に今後の行方を言い当てることもまた難しい。新型コロナウイルスによる肺炎が終息せずにパンデミック状態になると、緩和マネーの神通力が通じなく恐れがあり、そのあとにどのような結末を迎えるのかは誰も予想しえない。楽観視はできないが、必要以上に経済活動を委縮させないことが重要な局面となっている。