実績豊富!東京5区エリアの不動産売買 信義房屋不動産(しんぎふさやふどうさん)

不動産レポート

割高感増すマンション市況と今後の景気動向

米中貿易戦争、消費増税など悪化懸念も

 不動産下落局面は次の買いの一手に 

 

マンション価格は首都圏で割高感が募っており、新築の売れ行き具合は今ひとつの状況になっている。不動産経済研究所の発表によると、直近4月の首都圏での販売戸数は1421戸と1年前の同じ時期の6割ほどの水準にとどまり、4月単月で見ると、バブル経済崩壊後の1992年以来27年ぶりの水準である。一方、中古マンションの首都圏の売れ行きは好調に推移している。フローからストックの流れもあって中古はホットな市場と化している。今回は、マンション市況の現状と今後の動向を追った。

 

割高感は強い。不動産調査のマーキュリーによると、渋谷区の4月の平均価格は約1億2221万円と前年同月に比べて7割増しである。ザ・パークハウス代々木上原の第2期3次分譲の平均1億9080万円や、ザコート神宮外苑の第3期1次分譲の平均1億6623万円といった複数の高額物件がけん引し、変動率を大幅に押し上げたためとするが、東京23区は総体的に高値掴みの圏域に突入している。

 

中古マンション市場は、新築との連れ高となっているが、東日本不動産流通機構の調べによると、2018年の首都圏の成約件数は2年ぶりに前年度を上回り過去最高を記録した。3万7601件の成約となり、2016年の3万7446件を上回った。新築に手の届かない共働き世帯などが買い求めている。

 

ただ成約価格は、6年連続で上昇して3300万円台となり、1㎡当たりの単価ベースでは過去6年間で35.4%も価格が上昇している。東京カンテイの調査を見ても、東京都の平均価格は5000万円台の大台を突破し、都心6区(千代田・中央・港・新宿・渋谷・文京)は7700万円台となった。年収の高い層や夫婦共働きで資金的に余裕のあるパワーカップルが実需・投資ニーズの受け皿となっている。

 

都心にとどまらず、その周辺もそろって上昇傾向を強めており、これまで割安感の強かった東京の城北・城東などが割高感の強い城南・城西からの需要を吸収するとともに、価格もじわじわと上がってきた。

 

 

東京湾岸は世帯年収1000万円相場 最も割高感の強いのは渋谷エリア

 

東京オリンピック・パラリンピックの競技会場や選手村を抱える中央区と江東区ではタワーマンションの建設ラッシュ。東京湾岸エリアの新築マンションを購入する際に必要な年収と購入可能な世帯がどの程度いるかをマーキュリーが調べたところ、必要な年収は1035万円(頭金なしの場合)となっており、その1000万円以上の世帯を見ると、中央区では総世帯数7万7206世帯のうち1000万円以上が1万6404世帯、江東区では総世帯数23万6417世帯のうち2万5148世帯が1000万円以上となっている。両区を合わせた1000万円以上の割合は13.2%だった。特に過去10年で急速に進んだ湾岸開発によって江東区内は、世帯年収1000万円以上の割合は増えているようだ。

 

富裕層を得意とする仲介大手からは、「都心のマンション価格は上がり過ぎて成約までに時間を要し、価格の上昇余地もほぼないと見ている。しかし、都心の3A地区と呼ばれる麻布・赤坂・青山での高額物件の引き合いは強い」との声が少なくない。なかには販売価格が1坪当たり1000万円前後の中古マンションであっても地ぐらいの高い場所にあるマンションを買い求める層が依然として存在する。

 

こうしたマンション選びが難しくなった中でお買い得エリアはどこか。その判断の一つとして、東京カンテイが新築対象に公表している「マンションPER」を参考にしても、首都圏(PER24.96)は総合的に買いづらさ(割高感)が強まっていることがわかった。この指標は、分譲マンションの新築価格が、同じ駅圏域の分譲マンション賃料の何年分に相当するかを求めた数値で、「マンションPER=マンション価格÷(月額賃料×12)」の算式からはじき出している。PERの数値が低いほど割安、数値が高ければ割高と判断する。

 

5月に公表した今年の最新版を見ると、JR山手線の内側エリアや住宅地として人気の高い城南・城西エリアに加えて、割安感を保ってきた城東エリアにも価格高騰の余波が及んでいる。最も割高となったのは渋谷(PER41.21)だった。賃料換算での資金回収期間は、首都圏(PER24.96)との比較で16年以上も余計に回収期間を要する計算となった。次いで「元町・中華街」(40.66)、「麹町」(39.89)、「外苑前」(37.52)、「神谷町」(36.97)が割高感トップ5である。

 

ただ、お買い得エリアがなくなっていることが浮き彫りとなっているが、同社では投資家を中心に引き続き都心3区・5区といった地域は人気であると見ている。

 

不動産は実体経済の後追い 世界経済、国内景気に注意払う

 

不動産購入の背中を押してきたのは低い金利と景況感の改善があるが、懸念として急浮上しているのがその景気動向である。米中の貿易戦争は落としどころが見つからず連日の株安とともに、為替相場、今後の企業業績に対する不透明感が増している。株安が進めば富裕層がその直撃を食らうため高額マンションの売れ行きに響く。10月の消費増税により景気が落ち込むとの見方が少なくない。

 

金利動向については、ゼロ金利政策が続いて史上最低値が続いている。当面、地を這う水準が続く見通しだが、一部でくすぶる消費増税延期が仮に起きたとすれば国際社会から日本国の財政面の信頼が揺らぐ。例えば、世界的な景気回復により世界各国の金利が上がり日本も政策金利を正常化に戻す場合はポジティブな利上げだが、世界が低金利を維持しているのになにかしらの理由で日本だけ利上げをしなければならない悪い金利上昇を招く恐れもある。

 

とはいえ、そうした最悪のケースを想定するマーケット関係者は少なく、「海外勢としては自国通貨の金利と日本の円金利の差がヘッジコストにつながる。足元ではヘッジングコストが低い欧州などは日本に投資しやすい。韓国も日本の不動産に強い興味を持っている」(米系不動産投資顧問会社)と現状を説明する。

 

そもそも不動産は実体経済の後追い。大都市部に人が増えて、そこの需要が増えれば不動産需要と景気が総崩れすることはなさそうだが、1991年にバブル経済が崩壊し、その後もITバブル、ファンドバブル、リーマン・ショックとほぼ10年置きに訪れた景気の底を振り返ったとき、景気が悪くなっていく直前になにを感じ、それに気付くことができたか、ということを考えた際に前回のサブプライムローンを端緒にしたリーマン・ショックでは感じることができなかった。

 

バブル経済崩壊後に幾度と繰り返した反省をもとに、すでに土地神話的な見方をすることはなく、収益性を見て判断するようになっており、不動産の担保力で判断する時代になった。不動産価格の下落局面で買い支えるリートという不動産投資信託も定着するなど不動産市場が崩壊することを防ぐ仕組みが導入されてきた。予断を持つことは難しいが、不動産価格が下落する場面が来た時には調整局面として捉えて次の一手に向けて備えておくこともできそうだ。