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不動産レポート

英国のEU離脱の影響Ⅱ 不動産市況の節目は2018年 「EUショックで政治リスクが急浮上」

英国が6月に欧州連合(EU)からの離脱を決めて3カ月が過ぎた。イギリスはEUに対し、離脱方針を正式に通告していないが、通告すれば離脱条件を巡る交渉が2年間という期限の中で動き出す。報道各社によると、その通告は年明け以降になるとの見方が多い。これまで英国内の不動産市況は、ロシアや中東を中心にした資源マネーが流入し、ロンドンの不動産価格が急騰してきた。だが今後は、不動産市況が悪化していくとの見方がもっぱらだ。日本への影響については、7月号の本レポートで「世界の回遊資金が日本の不動産に向かう」と題して見通しを探ったが、3カ月を過ぎ世界のEUショックが和らいだ足元で改めて日本の不動産マーケットへの影響を探ってみた。

 

外資勢は買い一辺倒ではない 期待利回り下止まりの指摘も

 

まず、不動産投資の融資環境を見てみる上で重要なのが日本の金融政策である。日銀は今年1月29日に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の適用を決めて2月に導入した。質と量に加えてマイナス金利という3つの次元で金融緩和を強化。しかし、そのマイナス金利は、日銀・黒田東彦総裁の思惑通りに運ばす人気がない。マイナス金利で利ザヤが減る金融機関は言うに及ばす、経済界からもマイナス金利が景気を刺激し物価上昇率2%を達成するのは難しいとの見方が支配的になっている。

 

7月29日の金融緩和で日銀は、マイナス金利の深掘りはせずにETF(上場投資信託)の買い入れ額を年間6兆円規模とそれまでの3.3兆円からほぼ倍増した。企業などが外貨資金を調達する環境を安定させるための米ドル資金供給オペの担保となる国債の貸付制度も新設した。これまでの金融緩和を日銀は9月に一度総括するとしており、その日銀の総括がどのようなものになるのかを経済界は注視している。

 

そうした中で不動産事業向けの融資は急増を続けてきたが、イギリスがEU離脱を決めてから不動産向け融資が落ち込む兆しは見られない。東京都心部を中心に不動産価格は高止まりし、不動産売買市場には過熱感が漂っている。

 

例えば、オフィスビルを見ると、東京都心部のキャップレートは3.7%程度まで低下している。ただ、当面の投資市場のメーンシナリオとして、日本不動産研究所の不動産エコノミストである吉野薫氏は、8月5日に日本住宅総合センターが開催したセミナーの中で、「売買取引の状況やエクイティファイナンスの動向などを踏まえると、過熱の状況にはなく今後も過熱化する公算は低い」と指摘。近く〝期待利回りの下げ止まり〟という現象として顕在化するとした。アベノミクス以降の投資マーケットを見ると、「外資は売り買い双方に力を入れているため、外資が不動産価格をつり上げているとの見方は当たらない」と説明した。外資マネーが不動産価格を押し上げてきた近年の歴史と異なっている。

 

国内の最大の買い手も外資と同様の動きを始めた。三井不動産系の上場リートである日本ビルファンド投資法人は、手控えていた大型ビルの取得を再開し、「上野イーストタワー」に216億円を投じて持ち分を手に入れた。一方で宮城県仙台市や神奈川県厚木市で中規模ビルを売却して資産規模をネット換算で158億円増やした。日本ビルファンドは、物件取得の余力を870億円ほど残している。引き続き売り買いでポートフォリオを再構築しながら運用規模を拡大すると考えられる。

 

市況悪化の予兆はないが リスク察知のアンテナ必須

 

これまで何度も触れてきたように東京オリンピックを控え、資産価格が大きく下落することは考えにくく、適度な価格調整があってもクレジットクランチが発生し、不動産の投げ売りによる市況の悪化は低い。

 

オリンピック期待は不動産業界では依然として健在だ。三井不動産は、2020年を見据えてホテル事業の強化を図ることを決めた。訪日観光客も順調に増えていることで、東京・大阪・名古屋の三大都市圏をはじめとする全国の主要都市に新たにホテルを開発し、2020年までに1万室と現在の倍に相当する規模に拡大する。同社はこのほど、三井物産と共同で東京・大手町一丁目の大規模開発にも着手した。このプロジェクトは、地上31階と39階建ての2棟構成でともに地下5階の延べ36万㎡の複合オフィスビルで、高層部にラグジュアリーホテルを誘致する予定だ。国家戦略特区の特定事業認定を受けており、2020年2月の竣工を目指している。

 

こうした〝オリンピック特需が続く〟とはいえ、リスク管理は投資家の必須条件である。不動産マーケットに影響を与える新規のオフィスビル供給は、2018年と19年に比較的まとまった量での供給が見込まれている。需給の悪化が気になるところだが、東海東京調査センターの大室友良アナリストは、「建設費と職人など建設業界の人手不足を受けて供給計画が後ろ倒しになるケースも出ていることで予定の供給量にならない可能性も考えられるが気がかりなデータではある」と指摘している。

 

紛争やテロ、国内外の経済状況の先行き不透明感は付きものだが、今回の英国のEU離脱の決定は、マーケットを総崩れにする要因として政治的なリスクが無視できなくなったことを示した。為替市場を見ると、米1ドル当たり120円台で推移していた円安水準はEUショックによって一気に100円台まで切り上がった。政治的な要因によって中央銀行の金融政策の効果は瞬時に剥げ落ちることを知らしめたことは大きい。日銀が3年半にわたって推し進めてきた金融緩和の効果が消し飛んだのがその証左である。

 

前出の吉野氏は、「そうした政治的なリスクなどを踏まえると、2018年ごろが不動産市況の一つの節目となる公算が大きい」と見ている。日本は、2018年4月に黒田・日銀総裁の任期が満了し、9月には安倍首相の自民党総裁もこのままいけば任期満了を迎えることになるからだ。

 

不動産業界関係者は、政治日程をにらみながらの事業展開を強いられそうだ。

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