実績豊富!東京5区エリアの不動産売買 信義房屋不動産(しんぎふさやふどうさん)

不動産レポート



2017不動産マーケット展望:分譲マンション 後半戦に供給増 「資産防衛手段として外資再び着目!?」

金利付き量的・質的金融緩和の導入を受けて不動産業界には資金がダブついており、不動産バブルに対する懸念が付きまとっている。だが、今年1月に米大統領に就任するドナルド・トランプ氏への政策期待が高まり、これが日本経済にどう波及してくるかが焦点だ。東京証券取引所で大発会のあった1月4日の日経平均株価は、昨年末から466.50円と大幅に上昇し1万9580.87円と明るいスタートを切った。NYダウは史上初の2万ドル乗せへ、日経平均は2万円を超えその先を視野に期待が膨らむ中で、今年の不動産マーケットを展望する。
 

分譲マンション供給 都心コンパクト供給増へ


昨年は、首都圏の分譲マンション新規供給戸数が低迷し、物件価格の高騰に伴い客足も遠のいた。2016年1~12月のワンルームを含む新築分譲マンション供給数について、東京カンテイの予測では4.5万戸に届くかどうかで1990年代の最初の水準になりそうだと推察している。ワンルームを除いたファミリー向けは3.7万戸程度まで落ち込むと想定する。
その要因は、分譲価格が上昇し過ぎたためだ。そもそも高止まり感があったところにさらに高額帯となり、市場をけん引してきた不動産投資家でさえも買い控えに。こうした動きに終始一貫したのが昨年だ。地価と工事費、人件費のトリプル高によって消費者を引き付ける目玉となるマンションが販売されなかった。
しかし、ドナルド・トランプ新米大統領による効果として、原材料費や建築コストの上昇が続きそうなものの、金融業界への規制緩和期待などでプラス作用に期待する見方が足元で多くなってきた。金融機関の貸し出し余力が増すと資金循環が良くなり不動産市場に流れるためだ。
為替水準は118円とほぼ1年前の120円台をうかがっている。企業業績が盛り上がれば購入意欲の増進につながる。安定的な円安状態が続くことと、
世界的に安定している日本の不動産マーケットの評価が資産防衛手段の一つとして再び見直されて外資が戻ってくる可能性が少なくない。
さまざまな可能性を踏まえ、不動産調査会社の東京カンテイでは、「2017年後半から持ち直し、約5万戸の新規供給を予測する。内訳として実需向けファミリー4万戸、投資家向けのワンルームで約1万2000戸になりそうだ」と予測する。特に新規供給の伸びシロでは、コンパクト系の都心マンションが魅力的だ。中小デベロッパーにとどまらず、三菱地所レジデンスや三井不動産レジデンシャルといった大手がコンパクトやワンルームに力を入れ始めている。


東京湾岸など価格調整へ 買換え需要を後押し活発化


価格も一本調子ではなく、上下動や横ばいなどまだら模様で推移し、場所によっては10%程度の価格下落により消費者の物件購入意欲を刺激する策を取ることも考えられるとの見方を散見するようなったが、この価格下落は悪いディスカウントではないと指摘する。手の届かなかった消費者のニーズを顕在化させるからだ。特に2020年東京オリンピック会場に近い湾岸エリアでの価格調整が進むとともに買換え需要が活発化する。
とりわけ豊洲エリアは高くなり過ぎているため、数百万円の値下げにより購入者が再び増えるとの見方を散見する。豊洲エリアの分譲マンション価格は1坪当たり300万~350万円で、築10年のマンションは新築発売当時から20%アップのキャピタルゲインが狙えると言われている。
中古マンション市場も動きやすくなり、2017年の中古流通事例数は昨年の42万件の水準を上回りそうだ。流通事例数のピークは2012年ごろだが、最近になって出来高が増えている。資産価値が2割アップしているエリアでは、買い換え先のマンションが高止まっていてもキャピタルゲイン分がそれを吸収することで中古物件の流通が加速する。
ただ、不動産価格のさらなる上昇余地は限定的だと考えられ、ムーディーズ・インベスターズ・サービスでは、「当面は横ばい圏で推移する可能性がある。特に大都市で好立地の投資妙味のある水準で物件を購入するのが難しい状況にある」と見ており、不動産に特化した比較調査サイトのシースタイル(東京都中央区)が先月発表した調査を見ると、不動産価格は「東京五輪後に下がる」と思っている人が35.4%で、関東に限っては38.7%と4割近くに上るが、「今が売り時だとは思わない」が63.6%に達しており、今後の値下がりに対する漠然とした不安も浮き彫りとなっていることもわかった。


金利動向に注意払う タワマン高層部増税へ


低金利が住宅需要を下支えしそうなものの、2017年は、金利が一つのトピックスになる可能があるとの指摘が出てきた。
実際、トランプ氏が米大統領に決まったあとに住宅ローン金利を決める際の指標となる長期金利が上昇の様相を見せている。12月適用の住宅ローン金利では、メガバンク3行(三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行)が引き上げるなど固定型住ローンで金利上昇の動きがじわりと出ていることに注意を払う必要がありそうだ。
もう一つのトピックスとして、分譲マンション市場全体に影響を及ぼすものではないが、マンション高層階に対する増税実施が挙げられる。2018年以降に引き渡す20階建て以上の新築マンションが対象に富裕層の節税をけん制する。いわゆるタワーマンションと呼ばれるもので、上層階ほど売買価格が高くなるが、固定資産税の評価額はマンション1棟の評価額を区分ごとの床面積で割り出している。このため、専有面積が同じならは最上階と1階部分が同じ評価額となり、固定資産税や相続税額も変わらない。富裕層しか使えない節税対策だとする批判に対応し、上昇階にいくほど税率を高めて低層階の税負担を軽減する。2015年に相続税が引き上げられてタワーマンションを使った節税人気が高まっていたところを国が突いた。


Jリートから見える市場 高齢者向けは成長ビジネス


不動産投資信託(Jリート)は、上場銘柄数が57資法人に上り、運用資産規模が15兆円を超えるまでになった。今や日本の不動産の最大の買い手として君臨し、Jリートの売買動向がマーケットを占う一つの指標として定着している。このJリート成長の背景には、商品特性が投資家に理解されてきたことがある。特にマンションの賃貸収益を見ると、経済を急速に冷え込ませたリーマン・ショックでさえも賃貸収益が急落することがなかった。このことから不動産投資家からは、レジデンスへの投資は安全パイ的な要素として着目する。
不動産証券化協会の岩沙弘道会長は、Jリート市場について時価30兆円のポテンシャルがあると訴えている。引き続き市場規模の拡大が予想され、不動産データベースの整備が進み、リニューアルなどの履歴が把握できる物件が増加すればJリート市場は時価40兆円以上も期待できるとの見方もある。
住宅やオフィスビルに限らず、シニア向け住宅や旅館・ホテルと投資物件の多様性も着実に進んでいる。特に高齢者向けの住宅などを投資対象とするヘルスケアリートは、少子高齢社会の中で唯一の成長ビジネスだとして期待する外国人投資家が少なくない。
東京オリンピックの開催を控え、不動産業界を取り巻く事業環境にフォローウインドーが吹くも地価高騰で資産購入が難しい局面を迎えている。東京オリンピックまでのファンダメンタルズは悪くなく基本的に賑わいを見せそうだ。
ただ、複数の専門家は、「都心の売買には過熱感が強まっているので、上がりすぎた価額はどこかで一度ピークアウトする」ことを念頭に置かなければならないと指摘している。