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不動産レポート



関西不動産マーケット:大阪の分譲マンション 「梅田で大規模開発ラッシュ、住みやすさ北摂に着目」

東京23区を中心に東京圏は新築分譲マンションの販売価格が高騰し、消費者の購買力を上回る水準が続いている。デベロッパー各社が新築マンションの開発・販売を控えてきたことで、2016年は新築よりも中古マンションの成約件数が多くなるという初めての事象を引き起こした。一方で、関西圏の新築分譲マンション市場は、東京圏に比べて堅調に推移している。関西でも東京と同様に都心部への交通利便性が良い立地条件でなければ売れないのは変わらない。大阪駅北ヤード(梅田貨物駅)の跡地開発により誕生した「グランフロント大阪」が竣工して以降、大阪・梅田でのマンション開発がさらに増えると見込まれている。今回、大阪の分譲マンション市場の動向を追ってみた。

 

グランフロント大阪

( 更地は、着工前2010年3月31日に実施した起工式のときの状態 )


大阪市中心部の中古価格に調整感
新築の全国ベース単価は4年連続上昇


不動産経済研究所の発表によると、2016年1年間に全国の主要都市で発売された新築マンション戸数は7万6993戸と3年連続の前年割れとなった。価格面を見ると、1戸当り4560万円(前年比1.3%下落)だったものの、1㎡単価では65.5万円(0.2%上昇)と4年連続で上がっている。販売1戸当たりの専有面積が縮小し、実質の値上げが続いている状況を浮き彫りにした。


エリア別の供給戸数を見ると、首都圏は3万5772戸で1年前に比べ11.6%と二けたの落ち込みとなり、近畿圏が1万8676戸(同1.3%減)とほぼ横ばいだった。事業主別の供給戸数は、住友不動産(6034戸)が3年続けてトップとなり、2位に三井不動産レジデンシャル(4320戸)、3位に野村不動産(4056戸)が続き、4位に関西を地盤とするプレサンスコーポレーション(3225戸)がラインクインした。プレサンスコーポレーションは近畿圏で2435戸を売り出した。近畿以外で790戸を売り出し、うち首都圏は22戸に過ぎない。知名度の乏しい東京とは違い、近畿圏の消費者からは「人気のマンションブランド」としての評価を受けている。


不動産調査会社の東京カンテイの調べによると、今年1月の近畿圏の中古マンション価格は3カ月連続で上がって2109万円となったものの、大阪府では横ばいの2283万円、大阪市では2861万円(前月比0.8%下落)と2カ月連続で価格が落ち込んだ。昨年11月ごろまで一本調子で価格上昇が続き調整局面と見られ、大阪市中心部(福島区・西区・天王寺区・浪速区・北区・中央区)では3742万円と前月に比べて1.0%下落し、3カ月ぶりのマイナスとなった。築年数の平均が古くなったことも価格を押し下げる要因となった。


梅田エリアで大規模マンション開発ラッシュ
大阪市内は天王寺区と阿倍野区が人気


ただ2017年の売れ行きは、比較的好調に推移する見通しで、みずほ証券で不動産マーケットを分析する石澤卓志氏は、「奈良県や滋賀県といった周辺エリアでは、大阪中心部と交通アクセスで繫がっている場所と、それ以外では状況が全く違う。エリアごとの差が大きい。新規供給はそうしたエリアに集中するだろう」と近畿圏全体を俯瞰している。近畿圏の分譲マンションも地域の選別により供給の二極化が進むとの予測は少なくない。


大阪の街のイメージを大きく変えるきっかけとなったのが2013年4月に完成した地上38階地下3階建て延べ19万㎡に迫る「グラントフロート大阪」と、その翌年竣工の高さ300mと日本で最も高い商業施設「あべのハルカス」の誕生だ。


梅田エリアではデベロッパー各社が分譲マンションの開発を本格化している。住友不動産や三菱地所レジデンス、東急不動産、阪急不動産といった大手不動産会社では大規模マンション開発に相次ぎ着手。例えば、「ザ・パークハウス中之島タワー」の894戸や「ブランズタワー梅田North(653戸)」、「シティタワー東梅田パークフロント(490戸)」などで、これらを含めて2020年2月ごろまでに12棟の新規マンションが竣工していく予定だ。


大阪市の地域ごとの特徴を見ていくと、中央区は、官庁や企業のオフィスにとどまらず、観光地として人気の大坂城や道頓堀などを抱えている。


天王寺区と阿倍野区は地元の人たちが住みたい場所として人気が高く、阿倍野区に近い住吉区の帝塚山は高級住宅街として知られ、マンションも多く供給されている。天王寺区は、商業地域として発展している中で約200に上る社寺が集まっているエリアとなっている。大阪市東側の鶴見区は、「花博記念公園鶴見緑地」や不動産大手が開発したアウトレットなど商業施設が充実してファミリー層が多いのが特徴だ。福島区や北区など淀川沿いにマンションが多い。

 

グランフロント大阪

( 大阪駅北ヤード(梅田貨物駅)の跡地開発により誕生した「グランフロント大阪」は2013年4月に完成した )


北摂エリアは高級志向の消費者が集う
国立循環器病研究センター提携マンション


大阪市内に加え、市内北側にある北摂(ほくせつ)地域は、地元大阪人が住居として好むエリアだ。北摂エリアとは、吹田市・高槻市・茨木市・箕面市・池田市・豊中市を指している。実は大阪市内よりも年収の高い層が集っている。吹田市と高槻市、茨木市、箕面市などは高級住宅地を抱えており、特に吹田市が人気だ。緑が多く都心に近いのに喧騒から離れられる点が人気を博す。


高槻市は、新大阪や京都、神戸に出やすい交通の利便性に対する評価が高い。茨木市もそうした交通利便性が良く大阪・京都へも出やすく、市中心部に通勤するサラリーマンのベッドタウンとしての高層マンションが多く存在している。


豊中市は、日本で初めての大規模ニュータウン「千里ニュータウン」の開発地域として知られ、交通の便も良好。2016年にリクルートが駅別に実施した「SUUMO住みたいランキング」の関西版では、北大阪急行電鉄南北線の千里中央駅(5位)と江坂駅(9位)がトップ10に入っている。
吹田市に隣接する摂津市で注目のプロジェクトが進行中である。日本で初めて「国立循環器病研究センター」と提携した大規模マンション「ローレルスクエア健都ザ・レジデンス」(総戸数824戸)の来年3月入居開始に向けて近鉄不動産など事業主3社が今年2月下旬から販売を開始した。


このプロジェクトでは、国立循環器病研究センターとの提携ならではの健康ソフトサービスを導入するのが特徴だ。入居者のバイタルデータを同センターが解析し、個々の入居者に診断結果を発信する。日常生活での心筋梗塞や脳梗塞など循環器系の病気予防についての助言のほか、マンション内での健康セミナーなどに講師を派遣することも予定している。2019年3月竣工予定の第Ⅱ工区(380戸)と同8月に竣工予定の第Ⅲ工区(152戸)を合わせると1300戸を超える。


大阪の分譲マンション市場は、各エリアの特性を踏まえながら新たな試みを加えるなど需要の掘り起こしを本格化している。