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不動産レポート



関西マーケットの潜在力を追うⅢ

関西マーケットの潜在力を追うⅢ
人・モノ・カネを呼び込む街づくり
「大阪エリア相次ぐ大型商業ビル開業で活性化」


東京に次ぐ日本の大都市として大阪に注目するアジア圏の富裕層が増えている。地価高騰に伴い、特に東京は不動産価格の高止まりが顕著となって利回りを追求する投資家が東京よりも高い利回りが見込めると考え、にわかに大阪を中心とした関西マーケットに進出し始めている。当社、信義房屋不動産でも台湾を中心とした顧客からの問い合わせの増加を受け、8月に大阪・難波駅前に大阪支店を出し9月から本格稼働する。今回は、人を呼び込む商業施設の側面から関西マーケットの魅力を探ってみる。
 

■グランフロントがイメージ刷新
心斎橋はインバウンド需要生かす

以前にも触れたが、分譲マンションなどの住宅需要を見ると、関西圏も東京同様にやはり都市中心部、交通利便性の高いところに集中しており、それぞれエリアごとの格差が大きくなっている。地域ごとの将来性を観測すると、大阪駅前の整備が進むに伴い大阪への一極集中が鮮明になりつつある。これまで大阪は、梅田と難波の2つにビジネス拠点としての核が分散していたが、今後、梅田への一極集中を予想する声は少なくない。

そうした見方を裏付けるかのように、国土交通省が3カ月ごとに発表している「地価LOOKレポート」で見ると、今年4月時点の大阪圏は13期連続で地価の下落地区がゼロとなり、西梅田、心斎橋、難波、阿倍野の上昇トレンドが顕著で、難波では6%以上の上昇率となった。

今年の公示地価は、大阪圏の地価水準トップは「グランフロント大阪」だった。1㎡当たり1180万円となって前年比16.8%の上昇となっている。同地点は大阪の代表的な繁華街の一つで通称「キタ」と呼ばれるエリア内にある。2013年に公示地価の調査地点に加わってからこれまで4年連続で大阪圏の地価水準トップの位置をキープしている。キタに対しもう一方の繁華街の雄である「ミナミ」に位置する「Luz(ラズ)心斎橋」も2013年からの調査地点で、こちらも3年続けて大阪圏の地価水準4位に付けている。これら の高水準の地価の背景には、インバウンド需要急増の影響が大きい。

大阪の街のイメージを一新する契機となったのが「グランフロント大阪」だろう。1日平均で約250万人の電車の乗降者数を誇る梅田エリアへの注目度を一気に高めた。東京・丸ビルと新丸ビルのような街並みを作り出し、従来とは違う街の洗練度を見せつけた。

グランフロント大阪は、三菱地所など12社が2010年に大阪駅北ヤード(梅田貨物駅)跡地の再開発事業「大阪駅北地区先行開発区域プロジェクト」として地上38階地下3階建て延べ18万7800㎡の複合高層ビルを開発。オフィス・商業施設の複合ビルや分譲マンションに加えて、企業・研究者・クリエイターが集まり新たな価値を創造する施設として「ナレッジキャピタル」を誘致した。ホテルや長期滞在ニーズに対応できるサービスアパートメントも備えている。2013年4月に竣工して以来、地域の人の流れを変えた原動力の一つといわれている。

ここ数年、インバウンド需要の取り込みに成功したエリアの一つが心斎橋だ。訪日客の増加により街に活気が増す中で、「心斎橋大丸本館」の建て替えも決まった。大丸心斎橋店の免税店の売り上げを見ると、2015年度上半期は全体の2割程度を占め、通年の計画だった売り上げ100億円を半期で達成するなど関西圏で指折りのインバウンド集客力を発揮した。本館はすでに閉館し北館へ集約している。建て替えでは、隣接する北館とつなげて一体化し2019年秋に本館をオープンする予定だ。訪日客のさらなる誘引に向けて動き出した。

日本不動産研究所は、「心斎橋筋商店街は週末の歩行者数が10万人に達するなど路面商業店舗でも国内最高水準のポテンシャルを持っている」と分析している。
 

■阿倍野、中之島でも大型開発
日本一高いビル、高級ホテル誘致など

街が刷新されることに伴い大阪経済圏のプレゼンスの高まりに期待する声は少なくない。地元経済界の注目度も増す。こうした中で新たな再開発事業に乗り出すのは、なにも不動産大手だけに限らない。

阿倍野・天王寺エリアでは、近畿日本鉄道(近鉄)が2014年3月7日に日本一の超高層ビル「あべのハルカス」(地上59階高地下5階・延べ21万㎡)を全面開業した。それまで日本一の高さを誇った横浜ランドマークタワーを4m抜いて300mの高さが話題をさらったのは記憶に新しい。

これは、近鉄百貨店の旧本館の建て替えプロジェクトで中層部分にオフィスビルを配し、高層階に国際級のホテルも誘致。阿倍野エリアは近鉄や地下鉄、JRなどが乗り入れ、1日の乗降客数が約80万人に上り梅田や難波に次ぐ大阪の中心地である。周辺には商業施設だけでなく、大阪市立美術館などの文化施設に加え、天王寺公園や四天王寺といった観光名所を抱える。開発による街 の発展にアクセルを踏んでキタやミナミの背中を猛追する。

マスコミ大手が本格的な開発を手掛けている。朝日新聞社は、当初計画より遅れ、2012年秋に竣工した大阪・中之島での再開発「中之島フェスティバルタワー(東地区)」(地上39階=塔屋2階含む=地下3階・延べ13万㎡)に続き、2017年4月には「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」(地上41階地下4階)をオープンさせる。大阪朝日ビルと朝日新聞ビルの建て替えプロジェクト。オフィスや飲食・物販店舗、美術館に加え、同年夏には地上33~40階に高級ホテルの「コンラッド大阪」がオープンする予定だ。

ちなみに今年12月に閉館となる東京の「プランタン銀座」の地主は読売新聞社である。2017年中に新たな業態・店舗名で再開する予定だ。

日本郵便では、「(仮称)梅田3丁目計画」(大阪市北区)として街の開発に臨む予定だ。延べ床面積21万7000㎡・高さ187mのタワービルを大阪中央郵便局、大弘ビル、アクティ西ビルの共同ビルとして一体的に建て替える。

JR西日本大阪開発は今春、JR西日本の社宅跡地にショッピングセンターをオープンさせた。食品スーパー「阪急オアシス」を核にダイニングやカフェなどの飲食店舗、ドラッグストア、クリニックなどを整備した。

不動産業を本業としない企業も自前の土地・建物を有効活用する動きが活発化している。関西経済界からは、シンガポールや香港に取って代わるアジアのハブ拠点を目指したいとの荒い鼻息が聞こえそうだ。