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不動産レポート

英国のEU離脱の影響 世界の回遊資金が日本の不動産に向かう

英国のEU離脱の影響
世界の回遊資金が日本の不動産に向かう
「東京中心に外資回帰マネー本格化」

 

イギリスは6月23日に国民投票で欧州連合(EU)に残留するか、離脱するかの是非を問い、僅差で離脱派が残留派を上回った。Britain(英国)がEUをExit(出る)するという言葉を掛け合わせた『Brexit』という造語が世界で飛び交うとともに今後の経済に与える影響に関心が集まっている。まず日本への第一波は、国民投票のEU離脱が伝わると同時に株価が急降下して日経平均株価が1万5000円を割り込み、為替市場も一気に円高が進んで1米ドル99円と100円を割った。現在はやや落ち着いているものの、日本国内では経済に対する影響に注目が集まっている。こうしたことを受け、今回は急きょ、英国のEU離脱が日本の不動産マーケットに与える影響を探ってみた。

 

■投資マーケットに資金流入

 

考えられるシナリオは2つある。1917年の設立で現在60カ国・259拠点を構える米不動産サービス大手、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)でグローバルヘッド・オブ・リサーチを担うケビン・ソープ氏は6月29日、商業不動産市場におけるBrexitの影響について、今後の動向は「そこそこ」だと影響は限定的との見方と、「恐怖感」が広がるとの見方を発信した。

 

「EUは英国抜きでも結束することができる」というのが前者だ。このシナリオでは、世界と米国経済におよぼすマイナスの影響は軽微だとする。後者は、英国の離脱がEUを崩壊へと導くというもので、世界経済に与えるマイナスの影響が想定以上に大きく、長期的に引きずると見立てた上で、「例えば、センチメントや消費の悪化、欧州やその他の国々との輸出入の大幅な落ち込みが、投資家の恐怖感を煽り、最終的に不動産市場に影響を及ぼす」としている。

 

日本国内の専門家の間では、不動産マーケットへの影響としてネガティブな側面とポジティブな側面の両方が存在するが、総悲観する専門家が少ないのが特徴だ。みずほ証券・市場情報戦略部の石澤卓志・上級研究員は、「日本の安定さがあらためて認識されることで、世界を回遊している外資マネーが日本の不動産投資マーケットに流入する」とEUの問題が逆にプラスに作用するだろうと想定する。中国投資有限責任公司(CIC)が対日投資をやめる気配がない。投資対象としての日本の優勢に変わりがないと考えているからだ。「CICは前々から中国経済が減速することを想定していたことで、日本に分散投資の一環として資金を入れている」(石澤上級研究員)といい、イギリスのEU離脱は、むしろインバウンド投資が増えるとの観測も少なくない。

 

すでに昨年後半から外資マネーの日本回帰は顕在化。例えばノルウェーの年金基金が対日投資を本格化するのは、欧州で投資としての妙味がなくなったと判断したことが大きい。イギリスのEU離脱により、これまでロンドンに流入していた外資が一斉に引き揚げる中で、アジア新興国の経済成長も鈍化していることを考慮すると、その資金が次に向かう先は日米に限られるのが実態。欧州からの逃避資金が加わり外資マネーの対日不動産投資に拍車をかけそうだ。

 

■ビル賃貸と分譲住宅への悪影響は限定的

 

もちろん、円高が進むことで日本の景気が悪化しオフィスビル市場が低迷するリスクがまったくないわけではない。ただ、足元の不動産賃貸業の需給面から分析すると、ポジティブでもネガティブでもなく「ニュートラル」(石澤上席研究員)との位置付けが一般的である。特に東京のビル需給関係を見ると、2016年と2017年の新規ビル供給は減っていくことから、EUの影響でテナント需要が低迷したとしてもビル不足の状況は変わりそうにない。

 

アベノミクス以降、じわりと着実に上昇してきたビル賃料への影響が気になるが、そもそもEU離脱がなくても日本の経済成長率が低迷気味だった中で、企業は過去の数年間のリストラによる経費削減のもとに業績を回復し賃料負担力を引き上げてきたことを考えると企業の足腰は強くなっている。

 

2016年度の経済成長は、消費増税を延期したことで住宅投資の駆け込み需要がなくなった分マイナスに振れる可能性が指摘される一方で、公共事業など政府の景気てこ入れが景況感を下支えするとの期待も少なくない。

 

マンションをはじめとする分譲住宅マーケットは、今年2月に日銀が導入したマイナス金利により、住宅ローン金利の歴史的な低空飛行が続くことと、政府による景気てこ入れ策がプラスに働くことを前提に考えると、リーマン・ショックのような最悪のケースは想定しづらい。消費増税も再延期されたことで、デベロッパー各社は、増税を見越した駆け込み需要の想定が外れ、これまで先送りしていた消費者を引き付ける目玉物件をマーケットに順次投入することとなれば、今年は後半からマンション供給が若干上向きそうだ。

 

ただ、いずれにしろ国民投票の結果について、イギリス国内では離脱に疑問だという人が増えている。今後、英国議会で離脱を突っぱねる可能性もあるし、離脱という形が具体化するまでに時間がかかる。その間に見直しも起こり実際に離脱するかどうかはまだまだ不透明という見方も少なくない。離脱の実現が高まっているのは事実であるが、これからの紆余曲折が想定される中で日本に対する具体的な影響を語ることはやや拙速である点も踏まえておきたい。

 

■イギリスは価格調整後に投資機会

 

イギリスの商業用不動産は、保険会社が保有しているケースが多いのが特徴だ。不動産価格は金融市場と密接な関係にある。このため金融部門へのダメージが大きくなるほどにイギリスの不動産マーケットにも大きく悪影響として跳ね返ってくる。とりわけロンドンには、オリンピック後もオイルマネーやロシアマネーが流れ込んでヨーロッパの都市の中で不動産の価格が飛びぬけて高くなっている。フランス・パリ中心部の不動産価格はおおむねロンドン・シティの4割にとどまることを考えると異常値の域に達していることがわかる。

 

米不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)で英国CEOのクリス・アイルランド氏は6月27日、「英国の向こう2年間は価格調整局面に見舞われる」とコメントを出した。

 

金利低下にもかかわらず住宅市場も冷え込む見通しを示した。金融特区が不動産価格をつり上げてきたことも相まって現状のロンドンの住宅は高すぎて一般のサラリーマンでは買えない。ただ、この歪なマーケットがこれから普通に戻ってくるということになれば、つり上がっていた価格が需給関係を反映するものになるので悪い話ではない。価格が下がれば投資もしやすくなる。

 

商業用不動産・住宅ともに当面の価格調整は激しいものと思われるが、「ポンド安の利点が認識されだすとともに長期運用を好むコア投資家の投資機会が再浮上すれば徐々に好転に向かう」(JLL)。前出のC&Wも「買い手、売り手とも戦略の見直しを行い、短期的に質への逃避が起こるものの、こうした市場サイクルを乗り切ることのできる者に好機が訪れる。売り急ぎは起きないだろう」としている。

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