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不動産レポート



2018上半期 近畿圏不動産マーケット 分譲マンション価格は上昇基調キープ

-再開発野事業や訪日客需要がマーケット下支え-


近畿圏の不動産市場が底堅い。東京を中心とした首都圏の物件価格が高騰していることで、それを嫌った投資マネーの一部が関西エリアに向かっているためと見られる。中古住宅の流通状況を見ても近畿地盤の仲介会社からは「2018年になって大阪や兵庫、京都の中心部の物件単価が順調に上がって、特に京都に関しては3月に過去最高の取扱高になった」との声も聞かれる。近畿地盤大手も、都心部を中心に高単価の売買が狙える地域の出店を加速すると意気込みを見せる。前回の首都圏に続き、近畿圏の上半期を振り返ってみた。


●不動産投資の裾野広がる
マンション売れ行きは好調


近畿圏の分譲マンション市場は、不動産経済研究所の公表データを見ると、5月の発売戸数が1480戸と4月ぶりに1年前の水準を下回ったものの、1㎡当たりの単価は3カ月連続でアップした。売れ行きを契約率の推移で見ると、近畿圏は5月に69.5%と売れ行きが良いと判断される7割を切ったものの、7割を切ったのは2016年1月の67.1%以来のこと。首都圏では、今年5月までの1年間で70%を上回ったのは2回にとどまることと比較すると新築マンションの売れ行きは西高東低がくっきりしている。


東京カンテイが調べた直近5月の近畿圏のマンション価格では、大阪市中心部で4000万円台の大台に迫っており、3926万円と直近の最高値を更新した。近畿圏の全体平均でも今年2月以降から上昇傾向が続いている。大阪府は2378万円(同0.7%上昇)と3カ月連続で上がった。大阪市も3カ月続けて上昇し、3011万円(同1.2%上昇)と3000万円台に乗せた。阿倍野区や都島区などが大阪市の平均を押し上げている。

 

大阪市内でも富裕層の需要が堅調で、新築マンションだけでなく、築浅の中古マンションも価格に高騰感が出てきた。しかし、日本不動産研究所では6月1日時点で「優良住宅エリアを中心に住宅需要が堅調に推移する」と予測している。賃料マーケットにおいても、大阪市中心部を中心に上昇基調にあるとし、老朽化が進んだ物件の建て替えなどが進むとともに、依然として低空飛行を続ける金利水準を受けて「不動産投資の裾野が広がり、不動産会社以外による取得が目立っている」と指摘している。


国内外に知られる観光スポットを多く抱えていることで、近畿圏の宿泊ニーズのおう盛さを背景に地価の強含みが続くとともに、ホテル・旅館といった宿泊施設や商業店舗の賃料は上がっている。ホテル需要はとりわけ強い。


同研究所の公表コメントによると、「京都は、宿泊特化型ホテルのほかに烏丸・四条周辺ではカプセルホテルの出店が増加しており、高値取引が継続して地場の業者の参入は難しい。買い手は関東や外資などの京都府以外の事業者が中心である。供給物件の不足を受けてオフィスや収益マンションなどをコンバージョンして簡易宿泊所の開業計画も増加している」としている。


また、週刊住宅タイムズによると、京都では学生・若いサラリーマンといった単身者とファミリーの賃貸需要が強いという。同社では、「二条城駅や西大路御池駅、太泰天神川駅がある地下鉄東西ラインは、ビジネス街の烏丸駅や烏丸御池駅、三条駅に近い。京都大学、同志社大学、京都府立大学、立命館大学なども点在して収益マンションの稼働率が高く、東京都とその他地元以外の個人投資家のマネーも流入している」と話す。


●宿泊・商業施設のニーズ旺盛
路線価は大阪・御堂筋が全国2位


住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行され、一般住宅などを有料で貸し出すことでホテル・旅館など宿泊不足で期待もあるが、兵庫県芦屋市では通年で民泊を全面禁止とすることや、京都市で営業日数60日の規制として民泊施設から半径800mに管理者を置くといった独自の条例を定めて規制の強化が進んでいる。「こうした動きを受けて、住宅地域で既存ゲストハウスの売り抜けの動きがある。しかし、商業地域では小規模な賃貸マンションのゲストハウスへの用途転用は増加している」(日本不動産研究所)。訪日客の増加に伴う口コミで外資マネーも着目する。


国税庁が7月2日に発表した今年1月1日時点の「路線価」を見ると、最高路線価が上昇した都市33都市、横ばいの都市が13都市、下落した都市は1都市となった。この路線価は、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士などによる鑑定評価額、精通者の意見などをもとに算定した価格の8割で評価したものだ。


全国で最も路線価が高かったのは「東京都中央区銀座5丁目」(銀座中央通り)の4432万円/㎡だった。33年連続で最高となって、これまでの最高額だった前年の4032万円を抜いて最高額も更新した。2位に大阪府北区角田町(御堂筋)の1256万円がランクインした。

 


大阪駅・梅田駅の周辺では、大手不動産による大規模マンションの開発が相次ぐ。昨年の春から2020年頃まで10棟を超えるマンションが竣工する。例えば、東急不動産の「ブランズタワーNorth」(653戸)や住友不動産の「シティタワー東梅田パークフロント」(490戸)、阪急不動産の「ジオ天六ツインタワーズ」(358戸)、三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス中之島タワー」(894戸)などだ。また、こうした大阪の中心部や道頓堀(なんば駅)、通天閣(天王寺駅)など大阪を象徴する地域から南下した住吉区は高年収層が集う人気エリアとして住宅の実需が強く、帝塚山は高級住宅地として知られている。


最高路線価を前年との変動率で見ると、1位は神戸市の三宮センター街で前年比22.5%上昇し、392万円だった。3位に京都市の四条通が同21.2%上がって475万円となった。路線価からも近畿圏の地価の強含みが顕在化している。ちなみに銀座中央通りの変動率は12位、御堂筋が15位だった。両方ともに価格に天井感が出ている中で伸び率は鈍化した。


変動率トップの神戸市三宮エリアを見ると、再開発計画が相次いでいるのが地価を引き上げている。JR三ノ宮駅周辺での再開発をはじめ、ウォーターフロントの再開発、神戸市も庁舎の一部建て替えを計画するといった複数の大規模プロジェクトが存在する。芦屋や西宮、阪急塚口でも再開発プロジェクトが不動産マーケットをけん引する。


ニシキタの通称で知られる西宮北口地区には、大手不動産による分譲マンション開発も進んでいる。西宮北口駅から梅田駅と神戸三宮駅まで15分程度で行ける利便性が受けて住宅ストックが積み上がっており、今後は同エリア内での住み替え需要にも期待が集まっている。2018年秋には、再開発プロジェクト「(仮称)西宮北口阪急ビル」がオープンする予定だ。阪急沿線は実需・賃貸ともにニーズが旺盛で、特に阪急神戸線と阪急今津線が交わる西宮北口駅周辺は、大阪と神戸の中間地点であるため、双方のからの需要を引き付けている。「直近5月の神戸市のマンション価格は1897万円(同1.9%上昇)となって1年前との比較で昨年10月以来のプラスに転じている」(東京カンテイ)。


近畿エリアは、大阪圏を中心に地価の上昇基調を続けており、引き続き不動産マーケットに向けての資金流入は続きそうだ。