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不動産レポート



2018年不動産マーケット展望:景気腰折れせず、消費者心理改善の1年 - 東京五輪や皇室行事などお祝いムードが後押し

日本は、高度経済成長期のいざなぎ景気を超える息の長い景気回復局面を迎えている。今年もその傾向が持続するとの見方が大勢を占めており、不動産業界にもその恩恵が集まるとの期待が大きい。昨年、2017年は、日銀主導の金融緩和によりダブついたお金が不動産市場に引き続き流れて大都市部の地価が上昇し、東京都心部ではバブル景気をしのぐ高値水準となったほか、分譲マンション価格の高騰も続いた。オフィスビルなど商業用不動産は、稼働率がよく空室率も低い水準で推移。投資マーケットでは、物件価格の高騰を受けてJリート各社が物件買いを見送るケースが多かった半面、個人投資家はキャピタルゲイン狙いの売りと資産拡大を目指す買いが交錯した。2018年の不動産市場を領域別に展望してみた。

 


【分譲マンション市場】


駆け込み首都圏新規4万戸回復か?「名より実を取る」消費行動も増加


不動産経済研究所の先月末の発表によると、2018年の首都圏マンションの新規供給戸数は3万8000戸程度と予測した。2017年の実績としては3万6400戸を予測値としていることから、前年比4.4%増となるものの3年連続で3万戸台となる。


この3万8000戸を地域別に見ると、東京都区部が1万7000戸と神奈川県の8000戸が前年比横ばいとなるものの、千葉県が32.4%の4500戸と大幅に増加し、埼玉県も4500戸(15.4%増)と大幅に改善すると予想した。東京都下は減って4000戸の通しとした。


分譲マンション市場は、売れる物件と売れない物件がはっきりしている。新規供給は2016年から細り、2017年は高額帯のマンションの売れ行きが良かった。一般サラリーマンが狙える物件供給がめっきりと減った。東京都心や都区部の好立地に需要が集中して今年も同様のトレンドに人気が集中する見通しだ。


ただ、そうした中でも、みずほ証券上級研究員の石澤卓志氏は、「今年後半からは2019年10月の消費増税を見据えての駆け込み需要が発生して住宅需要が高まり、2018年は4万戸前後の新規供給もある」として最悪期は脱すると指摘する。


ニッセイ基礎研究所の不動産市場調査室長、竹内一雅氏も「2018年後半から駆け込み需要が顕在化する。売れずに在庫として積み上がっている校外型マンションのバーケニングや都市周辺部の成約状況が回復に向かうのではないか」と話す。


2020年東京オリンピック開催が身近に迫りつつあるほか、2019年にはラグビーのワールドカップが日本で開催される。皇室行事も相次ぐ。秋篠宮家の長女が今秋に挙式予定で、2019年4月30日には現天皇が退位し、5月1日に新たに現皇太子が天皇に即位するなどお祝いムードが控える中で心理的に消費者心理が改善するとの見方もある。


こうしたイベント頼りではなく景気の腰折れもなさそうだ。「景気は2017年度(17年4~18年3月)のGDP成長率は2%弱、2018年度も1.5%前後になりそうだ」(石澤氏)。


昨年の基準地価では、住宅地は全域で上昇し、とりわけ城北エリアの住宅地価が東京23区伸び率の上位10のうち5地点がランクインした。荒川区や北区などでイメージ的には良くないが交通利便性が高い。南千住は上野-東京ライナー開通効果と言われたり、TX沿線に人口が移動するなどの動きが顕著なようだ。


こうした住宅の分譲価格や家賃が安い割に交通利便性が高いことに注目する消費者が増えている。都内が高くなり過ぎたこともあるが、千葉県の船橋市や流山市、柏市など『名よりも実を取る』傾向が出てきている。

 


【商業用不動産・オフィスビル市場】


空室率・賃料水準の格差拡大へ 都心部は募集賃料が坪5万円以上


2018年は、新規のオフィスビル供給が2017年比で2倍ほどになる。S&Pグローバル・レーティングは、向こう2~3年に東京都心部のオフィスの床面積が大量に供給され、賃貸市場が調整する可能性があると指摘する。ただ、足元の好調な市況を受けて空室率が大幅に悪化したりする懸念が薄らいでいる。


みずほ証券の石澤氏は、「空室を抱えているビルは都心3区(千代田・中央・港)を見ると2割ほどで8割は満室稼働の状態。2017年竣工のビルも概ね8割稼働を確保しており、少なくとも主要ビルは心配ない」と話す。


しかし、「供給過多は否めずAクラスビルであっても2018年後半から賃料水準がじわりと低下し始めて、都心部は好調であっても2次、3次空室として市況調整が顕在化するのではないか」(ニッセイ基礎研究所・竹内氏)との見方も少なくない。


空室率は上昇傾向だが、立地の良い物件や東京23区は相対的に低い水準である。分譲マンションと同様に良いモノと悪いモノがはっきりし、オフィスビル市場も物件やエリアによって格差が生じている。賃料の上限と下限の差が拡大しており、東京都内では丸の内・大手町の募集賃料が1坪当たり5万円を超えて、既存ビルでも6万円台の募集例がある。


丸の内の大家である三菱地所は、丸ごとビルを借り上げる大型テナントが多く、共有部分も契約面積に入るため坪単価に換算するとやや安くなる場合も多いが、それでも募集ベースで5万円を超える状態になっていると言われている。ビルを貸すのではなくて丸の内を貸すとの強気の方針が続いている。


その一方で日本橋では、4万円前後で成約した大型ビルもあるが、この当たりは割安なビルも少なくなく格差が広がっている。

 

2018年不動産マーケット展望

 


【投資市場・Jリート市場】


運用資産の入れ替え活発へ 東証リート指数も春に向け回復


Jリート各社は、不動産価格にピーク感が募り、運用資産の買い増しに消極的だったものの、2017年12月下旬に大規模な資産入れ替えの発表が相次いだ。


三井不動産系の日本ビルファンドは、「NBF日比谷ビル」「GSKビル」「NBF新浦安タワー」を総額927億円でスポンサーの三井不動産などに売却し、その一方で「六本木ティーキューブ」「セレスティン芝三井ビルディング(追加持ち分)」を総額823万円でスポンサーから取得した。大和証券オフィスも共有持ち分「新宿マインズタワー」の7分の3をシンガポール政府系ファンドのGICに625億円で売却し、別のビルを購入した。


野村不動産マスターファンドでは、札幌でホテルを取得するなど年末に計5投資法人が大型物件の売買に動いた。インヴィンシブルでは、都内の賃貸マンション6棟を総額70億円で売却した。


これまで運用物件を購入して資産規模の拡大を図る外部成長に手詰まり感が際立っていたものの、物件の買い余力を残してジレンマを抱えていたJリート各社が動き出したと見られる。


東海東京調査センターのシニアアナリストである大室友良氏は、「収益性の向上を狙ったとして評価できる。物件価格の上昇により保有物件の運用者にとって戦略的な資産入れ替えを検討する好機だ」として引き続き同様の売買が増加すると見通す。


特に日本ビルファンドの入れ替えで「NBF日比谷ビル」を三井不動産に売却したことに注目する。「(三井不動産が株主である)帝国ホテルやNTT日比谷ビル、みずほ銀行内幸町本部ビル、東京電力本社ビルを含めた内幸町の再開発が具体化しやすくなった」と指摘している。


昨年は、金融庁の指摘を受けて投資信託の資金がJリート市場から流出し、投資口価格(株価)がさえなかったが、市場関係者は、「この投信問題は経済合理性からかけ離れた話だ」との見方が大勢を占めている。賃貸運用として問題はないことから、市場の指標となる東証リート指数について前出の石澤氏は、「現在1700ポイントに届いていない状態であるが、今年4月ごろには1800ポイントになってもおかしくない」と説明する。

 


【民泊市場】


全国解禁も民泊包囲網広がる


今年は、一般の住宅を有料で貸し出す民泊が6月中旬に全国解禁となる。空き家や空き地の有効活用から期待する声が少なくなく、住宅・不動産業界でも参入を表明する企業が中小だけでなく大手でも出てきた。


ただ、マーケット見通しは難しいのが実態。民泊運営日数の上限180日規制からさらに日数を絞り込む動きが活発だ。観光需要の強い京都市でも、町屋以外の住宅専用地域での年間営業日数を1月から2月までの60日間ほどに限る。


全国解禁に向けて民泊に対する各自治体の警戒感が高まっている。特区の東京都大田区では、住居専用地域・工業地域などでの営業を全面禁止とし、新宿区は月曜正午から金曜正午まで住宅地での営業を認めないことを決めた。


こうしたことから、民泊の法制化によって違法民泊が淘汰されることで民泊ストックが半減するとの見方と相まってホテル開発に向けた投資が増えるとの見方もある。