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不動産レポート



首都圏で資産価値が下落しない地域

新築分譲マンション10年後、2017年の試算

-表参道エリアは差益が8000万円に迫る水準-

 

分譲マンションを購入する際に日本でも資産性を重視する傾向が強まっている。つまり、新築なら竣工後10年、20年経過したあとに購入価格時と比べていくらで売却できるか、または、貸し出す場合に家賃をいくらで維持できるかである。特に東京など大都市部は比較的に資産価値を維持しやすいとして特に投資家が好むエリアだ。そうした資産性の観点から首都圏の主要エリアの不動産の価値を追ってみた。

 

 

●職住近接と都心アクセスの良さが高評価

リセールバリュー1位は馬喰横山駅エリア

東京カンテイはこのほど、築10年ほど経過した中古マンションの資産価値を「リセールバリュー」として駅ごとに算出して公表した。それによると、首都圏で2017年にリセールバリューが最も高かったのは都営新宿線「馬喰横山駅」の155.2%となった。2位は横浜高速鉄道みなとみらい線の「みなとみらい駅」(148.2%)、3位が京成押上線の「京成曳船駅」(145.3%)だった。つまり、この上位3駅周辺で購入したマンションは、新築時よりも馬喰横山で5割以上、みなとみらいでは5割程度、京成曳舟で4割5分以上値上がりした価格で流通していることになる。

 

リセールバリュー1位となった馬喰横山駅周辺は、約10年前の分譲マンションの坪単価が223万円だった。これは、JR山手線内側よりも割安な水準だったことと、最近の職住近接のマンション人気を受けたことが反映され、言ってみれば都心アクセスの良さが資産価値を落とさない条件と評価されている。

 

4位以下には、JR京浜東北線の「東神奈川駅」(145.0%)、東京メトロ有楽町線の「豊洲駅」(144.2%)、都営地下鉄新宿線「岩本町駅」(144.0%)、ゆりえもめ「お台場海浜公園駅」(137.7%)、JR山手線「品川駅」(137.2%)、東京メトロ銀座線「表参道駅」(136.2%)、東京メトロ東西線「門前仲町駅」(134.9%)がトップ10にランクインした。千代田区の岩本町と江東区門前仲町は、上位3駅と同じ理由でリセールバリューの評価を上げている。

 

基本的にランキング上位には、都心の表参道や六本木などJR山手線エリア南側に位置して高いブランド性を放っている駅が多いものの、10年前に過小評価されていたエリアが今回見直されたことも浮き彫りとなった。

 

●キャピタルゲイン+インカムゲインの評価

資産価値トップ「表参道」など都心に集中

ただ、このリセールバリューに賃料収益を反映させると、資産価値の評価は、いわゆる都心一等地と呼ばれる地域の駅がトップ10を占めることになる。1位は表参道駅、2位が神谷町駅、3位が原宿駅となっており、続いて目黒、白金台、九段下、麻布十番、代官山、青山一丁目、半蔵門の各駅の順番である。

 

表参道駅の場合、新築時の1坪当たりの単価398.7万円に対し、中古流通時には坪542.9万円まで上昇している。月額賃料で見ると、新築時の坪賃料2万510円に対して10年後の賃料は1万6798円と下落しているものの、10年間にわたって賃貸運営した上で2017年に売却した場合の差益を試算すると7797万円に上っている。「売却益+10年間の賃料収入」を合わせた運用利回りは9.24%と10%に迫る水準となる。

 

この10年間の賃料推移を見ると、郊外よりも都心部の下落幅が大きくなっている。その理由としては、都心部ほど新築時の賃料相場を強気に設定し過ぎるので10年後の賃料設定との差が拡大するためだ。郊外では強気の家賃設定をしづらいので経年に伴う賃料の下落幅が限られる。

 

また、新築時の価格別でリセールバリューの上位駅を見ると、坪単価300万円以上の高額帯は、多くの駅が都心部に集中しており、千代田区の番町エリアや港区の3A地区(赤坂・青山・麻布)、白金エリアといった高級住宅街として屈指の地域が名を連ねている。ちなみに六本木は、賃貸運用と売却益を合わせたリセールバリューで上位30位以内に入っていないものの、新築坪729.4万円が中古流通時に967.2万円と1000万円を目前とする。

 

これらの駅はJR山手線エリアの内側に位置した十分な立地優位性と交通利便性とともにブランド・ステータスの面から富裕層が集まっている。

 

新築価格が坪200万円以上は、前述した職住近接の利便性に強みを持っているのが特徴だ。東京駅や丸の内、大手町、品川、横浜といったオフィス街に出やすく、大規模再開発や新線・新駅の開業によって生活利便性・交通利便性が大きく改善している。例えば、東京湾岸エリアや武蔵小杉エリアの駅が登場している。なお今もタワーマンションの供給が相次ぎ価格相場を押し上げている一因となっている。

 

新築価格が200万円未満の低価格のエリアは、北千住駅や川崎駅などの近郊エリアに位置するターミナル駅がほとんどだが、郊外エリアに位置しながらもセカンドライフ需要ニーズがある大船駅や小田原駅といった横浜・東京都心へのダイレクトアクセスもリセールバリューの妙味を見せ始めている。

 

調査対象とした首都圏の683駅を見ると、100%以上は154駅と22.5%のシェア。90~100%未満は177駅(シェア25.9%)、80~90%未満が215駅(同31.5%)、70%以上80%未満(同14.6%)、70%未満の3割以上の目減りは37駅(同5.5%)だった。3割以上の目減りは千葉県の郊外に位置している。

 

東京カンテイでは、リセールバリューで上位にランキングされる駅について、事業と人口の集積性のあるエリアであり、再開発事業によってこの10年間で街のポテンシャルが向上しているのが特徴だと説明している。

 

ちなみに、そうしたエリアは新規供給があると今もなお反響は大きく、例えば、三井不動産レジデンシャルなどが東京・月島で開発中の再開発タワーマンション「MID TOWER GRAND」(総戸数503戸)は、地権者住戸を除く387戸を発売。7月下旬の1期189戸の登録受付で5600件を超える事前反響とモデルルームに1250組を超える来場者を集めている。銀座まで徒歩圏で最寄りの月島駅からは徒歩2分の好立地であることから資産価値の高いマンションとして地元や各所からの評価が高まっている。

 

マンション価格が高止まっているので、これから10年後の価格水準がどこまで維持できているか推測することは難しいが、足元での消費行動を見ると、資産性を重視したマンション検討の流れは止まりそうにない。