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不動産レポート



日本の地価にピーク感が強まる : 東京23区と京都市などに資金集中「基準地価(都道府県地価調査)から見た市況」

大都市圏の地価上昇が本格化している。国土交通省が9月に発表した7月1日時点の基準地価(都道府県地価調査)によると、全国の商業地での平均変動率は、前年比0.5%上昇し、9年ぶりに上昇に転じた2016年の0.005%から上昇幅を拡大して2年連続の上昇となった。三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)は、住宅地が横ばいで推移し、商業地が3.5%上昇した。東京圏は住宅地が4年連続で小幅上昇し、商業地が5年連続で上がった。京都府が5.7%、京都市は10.3%(前年6.5%)と大幅に上昇しており、11区すべてで上昇。インバウンドがけん引して上昇率トップ10に京都市が5地点ランクインしたのが特徴的だ。

 

外国人旅行客の増加とどまらず 宿泊・商業ニーズが不動産価格を押上げる

 

●外国人旅行客の増加とどまらず 宿泊・商業ニーズが不動産価格を押上げる


とりわけ京都市の不動産価格には天井感が強い。伏見区は商業地で全国1位の上昇率29・6%を示し、下京区でも25.3%の高い上昇率を示した。外国人に人気の伏見稲荷大社周辺で店舗の出店意欲が強いことが地価上昇を引っ張っている。下京区でも四条通などで新規出店意欲が強い。外国人観光客の増加により店舗やホテル需要が高い。


2018年1月に民泊新法が全国解禁されることも後押しする。多くの不動産投資家が京都に焦点を当ており、ある個人投資家は、「旅館業法・簡易宿所の営業許可を取った新築物件を京都で12部屋の民泊として稼働したばかりだ」と鼻息は荒く、訪日観光客の間で広がる口コミにより外国人投資家のニーズが見込めると期待している。


一方で、民泊サイトの急激な拡大を受けて違法民泊事業者も増えて社会問題化していることもあって、地元の不動産会社7社を発起人に「京都簡易宿所・民泊協会」(下京区)が8月に設立された。行政に違法民泊の刑事告発を働きかけるのが目的だ。


また、民泊全国解禁となっても営業日数が180日期間と制限を設けているほか、法制化により違法民泊の罰則規定が比較的重いことから撤退するケースも少なくない。180日規制は今後の議論対象になりそうだが、複数の専門家の見方としては、「日数規制が縮小に向かうことはあっても拡大方向にはならない」との指摘が多い。

 

大阪圏全体では5年連続で商業地が上昇した。大阪府が5.0%、大阪市が前年と同様に8.0%上昇しており、心斎橋やなんば地区への来訪者は増えている。日本政府観光局によると、8月の訪日客は前年同月比20.9%増の247万7500人と8月実績として過去最高を記録した。9月中旬には過去最速で2000万人を突破している。


大阪圏で最も高い地価は、2013年開業の大型商業施設「グランフロント大阪」。1㎡当たり1460万円と大阪府内4年続けてのトップとなった。大阪は2016年と2017年の新規の大型ビルがすくないため需給を引き締めていることが地価の引き上げを後押しした。

 

住宅地は大阪府が4年連続で横ばい、京都府で0.3%下落し10年連続の落ち込みだったただ、大阪市内は北区(5.1%上昇)や福島区(3.7%上昇)などマンション需要の強い地域が強含んでおり、京都市も1.0%上昇した。芦屋市や西宮市なども6年続けて上昇した。

 

●全国一の土地高は東京・銀座 「明治屋銀座ビル」1億2800万円/坪


もろちん、全国で一番地価が高いのは東京である。銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」は、1㎡当たり3890万円となり前年比17.9%上昇し、1991年のバブル期を超えた。東京区部の商業地は5.9%上昇し、昨年の4.9%上昇を上回った。森ビルや松坂屋などが再整備した「GINZA SIX(ギンザシックス)」が今春にグランドオープンしたこともあって周辺の銀座6丁目地点(同2740万円)で21.8%の上昇幅を見せた。

 

全国一の土地高は東京・銀座 「明治屋銀座ビル」1億2800万円/坪


金融緩和が不動産市場に投資マネーを呼び寄せ、なかでも割高感が否めない現状で物件購入に積極的に動いているのが外資を始めとするファンド勢である。不動産大手は、「1年ほど前から外資がしっかり不動産を購入しているが、その流れは足元で続いている」といい、米国系ファンドの購入意欲が強いことを実感する。


ただ、不動産を思うように買えないジレンマは残るものの、高値で購入した不動産も損を出すことなく回っている。東京オリンピック開催の2020年までキャッシュフローは安定するとの見方が多く、不動産市場が大きく崩れるシナリオを描く投資家が少ない。

 

東京圏の住宅地は0.6%上昇して4年連続でプラスとなり、調査対象となった全住宅地点のうち半分ほどが上昇した。都区部の住宅地は3.3%(前年2.7%)上昇し、東京23区すべてで上昇し、荒川区が5.3%上昇とトップだった。千代田・中央・港の都心3区の勢いが衰えている中で、上昇幅を上げたのが荒川区や足立、江戸川、葛飾、墨田、江東といった城北・城東エリアが存在感を出した。

 

不動産価格の高騰は都心部らか東京23区、そしてその周辺にまで及び始めた。投資家向けマンションを得意とする中堅デベロッパーの東京日商システムは、埼玉県西川口駅から徒歩1分ほどの線路沿いで分譲マンションを開発しているが、この当たりの販売価格が急上昇していると実感する。ひと昔前なら坪当たり200万円を切っていたが、今では250万円に達する。浦和エリアでは300万円を超える水準にまで切り上がった。

 

不動産売買仲介会社の多くが「マンション転売業者の活発な動きも上昇に拍車をかけている」と口をそろえ、「東京よりも神奈川や千葉、さいたまが成約件数を引っ張っている」と指摘する。都心・都区部の価格が高すぎて消費者は物色エリアを外へ外へと拡大中だ。


東京湾岸などタワーマンションに手が届かなくなっているサラリーマンは少なくない。


「マンションは、不動産大手の中にも価格調整が必要だとの声が広がるが、大手不動産が足並みをそろえて価格調整をしている雰囲気でもない」(複数の国内証券アナリスト)。当面は、価格の高止まりが続きそうだ。

 

全国一の土地高は東京・銀座 「明治屋銀座ビル」1億2800万円/坪

全国一の土地高は東京・銀座 「明治屋銀座ビル」1億2800万円/坪

 

●個人投資家は売却に走り出す それに呼応する買い方の存在も……


個人の不動産投資家は、売り時だとして出口に駆け込み始めた。「2億円で購入した中古の一棟マンションを2億7000万円で5月に売却した」や「10年近く運用した一棟中古マンションがほぼ倍で売れた」といった個人の不動産投資家の声をあちらこちらで聞く。つまり、価格が高くても売買が成立するということは、買い方の存在も底堅いことを示す。


そうした市況を受けてシノケングループでは、現在の主力商品である新築投資用アパート(ハーモニーテラスシリーズ)と新築投資用マンション(ハーモニーレジデンスシリーズ)に加え、 好立地な築古既存マンションを区分所有で仕入れリノベーションによるバリューアップを図って収益物件として販売する『リノベ×投資用マンション』事業を10月からスタートした。


同社では、マンション用地として開発を行ってきた都内一等地は、土地代の高止まりと人件費高騰による工事原価の上昇などにより、優良な販売物件の安定確保が難しくなっていると指摘する。そうした背景から駅から近い好立地の築古マンションに着目し、築年数は古いながらも賃貸ニーズが高い優良物件を厳選するビジネスを本格化するという。フルリノベーションを施してバリューアップを図ることで投資用マンションに転換する。中古の投資用マンションを購入したいというニーズは広がっていると判断した。

 

ただ、ある50代の女性投資家はこうも話す。「運用していたマンションの売却益だけで7000万円を得たが、この高値の物件をサラリーマン投資家に買わせるのは気の毒に感じていたものの、ちょうど従業員100人規模のオーナー社長が買い付けてくれたので〝罪悪感〟はなかった」と話した。こうした感想が漏れるほどにマンション価格が高騰している。


資金が入ってこないと資本市場も不動産市場も潤わない。1990年のバブルも、ファンドバブルもはじけ、不良債権処理が進んでいくなかで不動産のバルク購入に投資機会を見いだして再び資金流入した。将来的に同様のサイクルに追い込まれる可能性はなきにしもあらずだが、それがいつになるかは誰も予想しえない。

 

①「全国で最も基準地価が高かった銀座明治屋ビル」

①「全国で最も基準地価が高かった銀座明治屋ビル」

②「今年春にグランドオープンしたGINZA SIX」

②「今年春にグランドオープンしたGINZA SIX」