実績豊富!東京5区エリアの不動産売買 信義房屋不動産(しんぎふさやふどうさん)

不動産レポート



2017年半期、実需・投資を点検:年収倍率バブル期水準、ビル賃料は強気

2017年も後半戦に突入した。不動産マーケットの動向が気がかりだ。分譲マンションや商業用不動産、投資ビジネスは様々な転換期に差し掛かっている。不動産価格は東京を中心に大都市部でほぼピークに達した感が強い。今年の路線価は、バブル期をしのぐ水域に達した。2020年東京オリンピック・パラリンピックまで3年を切り、不動産市場でのプレイヤーの見方は強気と弱気が交錯し始めている。分譲マンション、オフィスビル、投資家動向など各セクターの点検と今後の見通しをまとめた。


【分譲マンション】価格調整も都心部は現状維持 年収倍率はバブル期並み拡大


マンションの供給戸数は、昨年から低迷が続いており、販売の好不調の目安とされる初月契約率は70%を切ることが多い。昨年前半戦は、消費増税の動向がはっきりしなかったことでデベロッパー各社が供給のタイミングを逸したことが影響した。しかし、徐々にだが供給戸数が増えている。話題性のあるマンションが増え、即日完売の比率も上昇し始めている。


ただ、みずほ証券の市場情報戦略部で上級研究員を務める石澤卓志氏は、「価格は高止まりしており、契約率も60%台の月が多いなど回復は道半ば。郊外部では今後2割弱の価格下落を予想するが、東京都心・都区部の価格は伸び率が鈍化するものの下落することはない」と話す。今年の供給戸数は、3万8000戸と昨年より2000戸強増えると見通す。


マンション価格の年収倍率はバブル経済期とほぼ同じ水準に達した。この年収倍率とは、マンションの販売価格がサラリーマンの年収の何倍になっているかを表すもので、東京カンテイが7月31日に発表した調査によると、首都圏は、2016年の新築倍率が10.68倍と、1990年の過去最高13.56倍を含めたその前後のバブル景気の域に達し、千葉県を除いて軒並み10倍を超えた。都道府県別では、京都府(12.94倍)が東京の11.46倍を超えて全国で最も高い倍率となっている。


不動産大手からは価格調整をしないと売れないとの声が聞かれる。新築には価格調整局面もうかがえ、2016年の年収倍率は首都圏で5年ぶり、全国平均でも7年ぶりに下がった。ただ、「大手不動産が足並みをそろえて価格調整をしている雰囲気でもない」(東海東京調査センター)との見方も存在する。
東急不動産が8月1日に発表した2018年3月期第1四半期決算によると、在庫が一時よりも増えてきたが、新築マンションの売れ行きは悪くないようだ。中古マンションを主力とする売買仲介事業も取扱件数、取扱金額ともに前年を上回っており、物件は比較的、活発に動いている。


東京カンテイは、新築・中古のいずれも、旺盛な実需・投資ニーズが東京市場をけん引していると分析している。中古マンションを見ると、首都圏で築10年の年収倍率は7.13倍となり、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)すべてで拡大しており、東京都は9.13倍だった。東京以外で年収倍率が高かったのは神奈川県(7.65倍)、京都府(7.05倍)、沖縄県(7.80倍)となってそれぞれ7倍台を付けている。


とりわけ東京は、平均年収が634万円と全国平均よりも200万円ほど高いにもかかわらず、消費者にとっての買いにくさに緩和感が見られないのが現状である。東京カンテイでは、「この平均年収は、各都道府県の県民経済計算をもとに予測値で出している。経営者を除いての算出であるため、サラリーマン所得の実態を表している」としている。


また、主要都市別で中古マンション価格を見ると、今年半期の節目である6月は、東京23 区で前月比マイナス 0.2%の5309 万円と年明け以降は概ね±0.3%のレンジで推移し、直近1 年間を通して見ても高水準で安定している。言ってみれば膠着状態、長らくボックス圏内でウロウロしている状態だ。


都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)は前月比マイナス0.3%の7312 万円、城南・城西6区はわずかながら4カ月ぶりに弱含んだ。一方で、城北・城東11区は3月の価格水準まで回復している。


近畿圏の主要都市は、大阪市で前月比マイナス0.1%の2840万円とわずかに弱含んだ。東京23区と同様に、前年同月と大差ない価格水準での推移が続いている。神戸市ではマイナス1.1%の1859万円と引き続きマイナスで、下落率もやや拡大した。名古屋市は前月比プラス1.1%の2181万円と4カ月連続の上昇となった。

 

2017年半期、実需・投資を点検   年収倍率バブル期水準、ビル賃料は強気


【商業用不動産】新規ビル供給は見かけより少ない 東京の市況は強気の賃料設定


オフィスビルは新規供給が少なく、マーケットはおおむね好調である。新築ビルに関しては、賃料の強気設定により上昇傾向となっている。物件・立地によっては、既存ビルでも強気の姿勢がうかがえる。


この4月にグランドオープンした複合施設「GINZA SIX(銀座シックス)」の賃料は1坪当たり4万5000円である。銀座エリアの賃料水準は、昨年までは上限が3万5000円だったので、トップの水準を約3割も引き上げた。一方で賃料のボトムラインも切り下がっており、競争力を失ったビルはテナント誘致に苦労しているようだ。


前出の石澤氏は、「銀座周辺は、上限と下限が膨らんで賃貸体系が多様化している。伸び盛りの会社は賃料の高いビルに入居する傾向がある。老舗企業は拠点の集約移転が活発化し、これらが相まって相対的な空室率の低下に寄与している」と話す。


2021年までの向こう5年間のビル供給は年平均で103万㎡と予想されており、過去31年間の平均値とほぼ同量である。過去5年で見ると、18年、20年よりも多い供給があったので特に大量供給ではない。都心3区(千代田・中央・港)の新規供給は港区に多いが、もともと需要の強い地域でありテナントの決まり具合も悪くないと考えられる。ほとんどが既存ビルの建て替えで、見かけの供給量に対して正味の新規供給は約4割にとどまる見通しだ。今後、オリンピック関係の需要もあり、ビジネス需要は期待できると想定される。


【不動産投資】ファンド勢は高値掴みも損失なし


不動産ファンドが元気だ。ソコソコの資金が余っているという話を聞くことが少なくない。「新たな投資物件が買いづらい状況であるにもかかわらず、不動産を購入した人はしっかりと運用できており、現状ではだれも損していないという印象を持っている」(東海東京調査センター)。


高値で買ったけれどもだれも損していないとの声は少なくはなく、ファンド運営者や、それらの出資者は、金利は低いし、不動産からのキャッシュフローも下がっておらず、むしろ上昇しているので不動産価格が大きく値崩れするリスクは見あたらないと見ている。


収益物件の新規供給も増え続けている。相続増税を避けるために需要動向に関係なく節税目的でマンションやアパートといった貸し家が増えているためだ。


しかし、駅から遠かったり、生活の利便性が落ちる地域では賃料を大幅に下げないと入居者が決まらないし、長期間空室を強いられる居室は多い。グレードの高い賃貸住宅が少ない脆弱性が空室率を高める要因になっている。


こうした空室対策では、リノベーションやリフォームなどで既存住戸のクオリティーを新築並みのレベルに引き上げる方法が人気となっている。

 

中古年収倍率

出典:東京カンテイ

新築年収倍率

出典:東京カンテイ