実績豊富!東京5区エリアの不動産売買 信義房屋不動産(しんぎふさやふどうさん)

不動産レポート



Tokyo Market魅力的なイールドスプレッド「日本人と対照的に外国人は投資拡充狙い」

デフレからリフレに以降し、経済は緩やかな改善傾向にある。昨年8月以降に日銀がイールドカーブをコントロールする政策を導入したこともあって低金利環境が続いている。アベノミクスも継続見通しだ。昨年10~12月の実質GDPは二次速報を年率換算すると1.2%と4四半期連続で成長し、この4四半期続けての成長は安倍首相1年目に達成して以来となる。先月4月下旬の日銀の金融政策決定会合で引き続き大規模金融緩和を続けることを決定しており、住宅・不動産業界にとっての事業環境は追い風が止んでいない。


●新築マンションGW商戦次第、中古は絶好調


東京を中心とした首都圏の分譲マンション市場を見ると、消費者の購入動向は様子見状態が続いている。不動産経済研究所がまとめた3月の首都圏のマンション供給は、3408戸と1年前を26.6%上回った。2カ月続けて前年同月の水準を超えたものの契約率は好不調の目安とされる70%を下回り66.2%にとどまった。ただ、東京区部の供給は1369戸で2ケタ増加し、平均価格が6628万円(同3.0%低下)と高止まっているものの契約率は7割を回復した。神奈川も先月からの好調が続き、41.1%増加の642戸で契約率は78.8%と8割近い。


新規販売状況に少し明るさが垣間見えており、この4月下旬から5月にかけての春の大型連休(ゴールデンウィーク)期間中のモデルルーム来場や契約動向が2017年の分譲マンション市場を占うことになる。


ゴールデンウィーク前に完全予約制のモデルルームをオープンした東京建物の「ブリリアタワー横浜東神奈川」(総戸数110戸)は、横浜駅まで一駅の立地などが受け、資料請求が約3カ月で2200件を超え、モデルルーム来場予約は500件を超えた。同マンションは、2019年4月上旬の入居を目指して木造家屋の密集地を再開発する地上20階建ての制震マンションとなる。地権者を除く78戸を売り出す計画で、6月上旬にモデルルームの一般公開を開始する。


中古マンションは、新築マーケットをしのぐ好調さを見せる。東日本不動産流通機構(通称・東日本レインズ)によると、2016年度の首都圏の成約件数は過去最高の3万7446件(前年比6.7%増)に達した。成約価格は22年ぶりに3000万円台に乗せて4年連続の上昇。これまでにない中古マンション人気である。

 

Tokyo Market魅力的なイールドスプレッド「日本人と対照的に外国人は投資拡充狙い」


●商業店舗賃料は前回のピーク迫る


不動産オーナーの市場賃料は強気だ。しかし、その半面、支払える賃料の潜在能力について懸念を高めているのがテナントサイドだ。このギャップが空室率を高め、契約までの期間を長期化させており、賃料は横ばいで推移している。


米不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)によると、銀座・表参道の1~3月の店舗賃料は、銀座の路面店舗で1坪当たりの月額賃料が27万5000円、表参道も同21万5000円とともに前期比横ばいで推移している。JLLでは、底堅い出店需要と限定的な供給マーケットを背景に引き続き賃料の上昇基調が続くと予測する。ただ、賃料水準そのものは前回のピークに迫っているとし、上昇ペースは減速し、物件価格も賃料を反映して上昇するとの見方だ。


銀座では、大手不動産や百貨店などが大型商業施設「GINZA SIX(ギンザ・シックス)」、表参道でオーストラリアの飲食店「Fratelli Paradiso」と米国「Umami Burger」がそれぞれオープンした。今後、銀座ではCOSやSantoni、ボンポワンの開業も控えている。


●オーナーに売却プレッシャーなし


不動産投資マーケットも底堅い。米不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は4月24日、世界の不動産投資活動における将来動向を分析、予測する「アトラス・サマリー2017」を発行し、その中で2017年のアジア太平洋地域における不動産投資額は6110億ドルにのぼる見通しを示した。この額は2016年比1.6%の微増(6010億ドル)にとどまるが、世界全体の44%を占める1.39兆ドルに達する。こうした投資機運は、アジア太平洋で今年も引き続き変わらずと予測し、良好な景気が投資家の関心を刺激すると読む。


日本市場については、C&Wによると、2017年1~3月期(第1四半期)の不動産取引は、年度末の影響を受けて活発化し、ヒューリックや平和不動産といった上場不動産会社が予想外の買いを入れ、一般事業法人が積極的に売り出したのが特徴だった。特定の一般事業法人による売却額が全体の25%以上を占めた。


こうした同様の取引額が4~6月期に見込めないにも関わらず、外国人投資家を見ると、引き続き魅力的なイールドスプレッドが確保できるとして日本市場に新規参入したり、投資拡充を狙っているのが現状だ。このため、不動産の価格形成は今後も進行する可能性を指摘している。個人投資家に対する金融機関の貸し出しに対する引き締めが行われる可能性もありうるが景況好調を予想する見方が少なくなく大幅な引き締めが発生するとは予想しにくいのが現状だ。


ただ、過去2年に渡る売却物件の少なさが依然として続く見通しだ。国内と海外の資金が溢れている中で、金融緩和維持によってリファイナンスが容易になっていることで不動産のオーナーは売却プレッシャーを受けていないのが実態だという。価値を高めたバリューアッド物件によるオポチュニスティック投資が資金展開に向いていると指摘する。つまり、安定したキャッシュを生む資産を仕入れてリノベーションなどでテコ入れし、そこに資金を売り向ける。


実際、すでに安定資産を追求しマーケット取引の主役となっているJリートでは、こうしたバリューアッド戦術を立てて、ブリッジファンドを活用し安定した賃料が見込める資産を仕入れて運用する手法をとっている。


●投資テーマは人口動態


新しい投資セグメントと投資スタイルに対する関心が世界的に高まっているのと同様、日本では人口動態が投資のテーマとして関心が高まっている。国レベルでの出生率低下とは対照的に、首都圏で人口の増加を続けている。こうした点からサブマーケットを飲み込み成長していきそうだ。三菱地所レジデンスは、東京への人口流入と単身世帯の増加、低金利を背景にした資産運用ニーズの対応を本格化している。資産形成向けマンションブランドとして「ザ・パークワンズ」を昨年立ち上げ、年明けに初弾物件「ザ・パークワンズ品川戸越」(総戸数84戸)を売り出した。同シリーズを東京23区で年間200~300戸供給する。人口動態を見据えて東京圏の住宅・商業・投資マーケットは当面ひっ迫した状況が続きそうだ。