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不動産レポート



万博誘致でヒト・モノ・カネ集中

大阪・夢洲など負の遺産が蘇り!? カジノ誘致にも弾み!? 

 

昨年12月25日の日経平均は前日比1000円を超える急落で2万円台を割り込み、28日の大納会で2万円台に戻したものの、年明け4日の大発会の終値は452円安の1万9561円に。中国の景況感の悪化と米国アップルの企業業績の下方修正を受けてダウ平均株価が急落し、日本の株価も沈み込んだ。リセッション入りのサインか、と2019年は不安を抱えるスタートとなった。だが、今年は10月に消費増税があるものの、ラグビーワールドカップの開催、4月30日に現天皇が退位し、翌日に今の皇太子が新天皇に即位する。2020年は東京オリンピック・パラリンピックの開催と祝賀ムード的なビッグイベントが控えている。2025年の大阪万博の開催も決まった。前回に引き続き2019年不動産市場を展望する。

 

 

■分譲マンションは西高東低が続く

供給戸数は新築・中古とも前年並み

 

 日本の景気拡大は、2012年12月から始まった。昨年9月に高度経済期のいざなぎ景気を超えて戦後2番目の長さとなり、今年1月で74カ月という景気拡大局面を迎える。ただ、株式市場の急落は、富裕層を中心に消費意欲・購買意欲が後退する。

 

世界的な株安に伴って安全資産とされる円買いも進んでおり、各種報道の経営者や識者によると、今年の円相場の想定として105円~120円と幅広く、為替相場が見通しづらい状況となっている。すでに年明けに105円から切り上がり、一時104円台を付けて早々に予想より円高に振れる場面も見られた。

 

 今後の不動産市場に影響するか気になるところである。昨年を振り返ると、不動産経済研究所の調べでは、首都圏の新築分譲マンションの11月の発売戸数が3461戸(前年同月比2.8%増)で契約率が53.9%と振るわなかった。東京23区では5割を切っている。

 

一方で近畿圏の発売戸数を見ると、前年同月を63.4%上回る2585戸となり、単月ベースの発売戸数としては2013年9月の3671戸以来の大量供給となった。契約率も74.4%と好不調の目安である7割を超え、大阪市中心部の契約率は88.1%と9割に迫っている。分譲マンション市場は西高東低の傾向が強い。大和ハウス工業が大阪市北区で開発中の分譲マンション「プレミスト梅田」(総戸数133戸)の1期50戸発売は即日完売となった。販売価格は5000万円弱~2億円台。30代から50代の引き合いが強く、登録者の8割以上が買い替え需要と実需によるおう盛な買い意欲が垣間見えている。

 

 同研究所では、2019年の予測も発表しており、首都圏の供給量は3万7000戸と2018年とほぼ同じ水準と見込んでいる。近畿圏においても横ばいの2万戸と予測し、消費増税に伴う駆け込み需要の状況によっては2万2000戸もあると見ている。

 

 

 中古マンション市場も2019年は、昨年と変わらず新築物件の成約件数よりも多い状況が続く見通しだ。東日本不動産流通機構のデータを見ると、2018年11月までの直近1年間の成約戸数は3万7241戸となっており、このうち6カ月が前年実績割れとなった。在庫件数は4万7258件と42カ月連続で増え続けている。

 

首都圏での年間の売り物件ベースの件数は40万戸ほどと見込まれ、価格は高止まりの状況が続く見通しだ。東京カンテイの発表によると、直近11月の中古マンション価格は、首都圏・近畿圏ともに最高値を更新。東京23区は5438万円となり8月に記録した5406万円を30万円上回った。大阪市は3115万円となり、1年前との比較で見ると、11月までの3カ月は7%後半~8%台の上昇を維持している。

 

東京都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)は7556万円となって8月に記録した最高値7569万円に迫っている。大阪市中心6区(福島・西・天王寺・浪速・北・中央)は、4029万円と前月比横ばいであるものの前年同月比では5%を超えるプラスとなっている。

 

前回のレポートでも触れたが、首都圏は、東京五輪会場の選手村として使われるマンションの値付け次第。良くも悪くもその余波を受けて、新築・中古とも販売価格の調整局面が想定される。一方、近畿圏は、2025年大阪万博(国際博覧会)の開催決定を受けて大阪湾岸エリアを中心に投資マネーが流入して強含みの市況が展開されそうだ。

 

■大阪に投資マネー流入加速

ポスト東京五輪として熱視線

 

その大阪万博。ポスト東京オリンピック・バランピックとして政府と経済界からも熱い視線が向けられている。ロシアとアゼルバイジャンに競り勝って11月23 日に博覧会国際事務局(BIE)総会で2025年の大阪開催が決まった。東京オリンピックが決まった後に五輪会場の湾岸エリアを中心に地価が上昇し、不動産価格が高騰したように投資マネー流入による活性化に期待が集まっている。

 

住宅・不動産業界や建設業界だけでなく、オフィスビルや商業店舗、ホテルなどの宿泊施設などへの波及効果が大きい。大阪の不動産市場の価値を引き上げそうだ。米不動産サービスのJLLによると、道路や鉄道といったインフラ整備とともに都市機能が更新され、それに伴う不動産開発が進んで大阪の国際都市としての存在感が高まるとしている。

 

世界からヒト、モノ、カネを吸収する絶好の機会になると指摘するとともに、賃貸・投資の両分野において活発な大阪の不動産市場を予測している。

 

同社の調べによると、Aグレードオフィスビルの平均賃料は、2009年第1四半期以来の2万円台を回復し、賃料上昇率は前年同期比11%上昇している。大阪圏では昨年100億円以上の大型取引も15件確認され、商業用不動産向けの投資額が過去最高を記録した。

 

 

すでに商業用不動産は好調なマーケットであるが、JLLでは、万博誘致に成功したことで不動産開発や経済活動を背景に賃料上昇は続くと見立てる。民間資本のよる再開発など都市再生を受けて大阪の不動産価値を一段と高めそうである。

 

特に万博開催地の夢洲までの鉄道延伸など交通インフラの整備を呼び水に、夢洲と隣接する咲洲(南港)などを含めてこの一帯はバブル崩壊によって遊休地化・不採算化した「負の遺産」として大阪のお荷物的な存在だったが、万博決定を機に活性化して大阪湾エリアが新たな収益を生み出すエリアに大きく変貌する可能性が高まってきた。

 

この万博誘致を機に大阪府・大阪市としては、カジノ施設の誘致にまで一気に持っていきたいところだろう。昨年IR(統合型リゾート)法案が成立しており、カジノを含むIR施設の誘致を全国3カ所で認定する予定だ。2024年までに最初の開業が見込まれている。

 

大阪もすでに候補地として名乗り挙げて誘致に向けて力を入れているが、万博が決まったことでカジノの現実味が大きくなったと言える。

 

2019年以降の不動産市場は、分譲マンション市場にとどまらず、商業用不動産を含めて、これまで東京に集中していた投資マネーは、割高感が高まった東京マーケットを避けて大阪に向かう流れが強まる元年になりそうだ。